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誰が召喚したか知りませんが、私は魔獣ではありません  作者: もっけのさひわひ


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ほんとにミカだ

遅くなりました

ご査収をば!

「リラ、シリルくん! 久しぶり!」

「ほんとにミカだ、ミカがきたよ!」


 山の民の幼女、リラが私に飛びつく。私は小さな友達をぎゅっと抱きしめた。


「二人とも元気そうだね、会えて嬉しいな」

「ねえ、お姉さん。あっちの従僕の人とメイドの人は分かるけど、あのエビーさんじゃない金髪の人、だれ?」


 リラの兄で十一歳の少年シリルは、無遠慮にサゴシの方を指さした。顔いっぱいに『怪しい』と書いてある。


「あの子もテイラーから来た護衛だよ。影というか、隠密というか。そういえば、シリルくん達とは入れ違いでシータイに来たんだっけね、サゴちゃんは」

「そーかもですね。俺、山の民はあの神官達しか会ったことないんで」

「ふーん……」


 あからさまに警戒するシリルを見て、サゴシはにまああああああ、と歪んだ笑みを浮かべた。


「ねっ、ねっ、見て、俺のこと嫌そう! 嫌そうにしてる!」

「えっ何、きも」

「喜ぶんじゃねえよ変態。シリル坊が引いてんだろ」


 バシッ、とエビーがサゴシの頭をはたく。


「だってだって、最近優しくされてばっかりだったからさあ。ふひひひ」


 嬉しそうだな……。ペータとメリーが繰り出す反抗期パンチくらいじゃ満足できないのか。


「シリル坊、コイツ変だけど俺の幼馴染なんだ。怪しいけど悪いヤツじゃねえし、不審者に見えてミカさんの下僕だからよ、そう警戒せんでやってくれ」

「変、怪しい、不審者、下僕。ふひひ」

「だから喜ぶなっつの」

「はあ、エビーさんがそう言うなら……あっ、ザコル様! お久しぶりです! タイタさんも!」


 シリルはさっさと切り替えてザコルとタイタに挨拶し始めた。わあ、関心薄ぅ! とサゴシはますますはしゃいでいる。


「それと……もしかして、ミリナ様の息子さんですか?」


 シリルは、緊張して立っている少年に目を止めた。


「はっ、はいそうです! イリヤ・サカシータといいます。母さまを知ってるんですね」

「うん。今日会ったばっかだけど、顔似てるからすぐ分かったよ。俺、山の民でシリルっていいます。よろしく」

「はい、よろしくおねがいします。……くふふっ、僕って母さまに似てるんだ」


 どちらかと言えば父親似というか、祖母のイーリアに似ていると言われがちなイリヤは嬉しそうにはにかんだ。


「リラたちね、ミカたちをあんないしにきたよ」

「こっちにどーぞ」

「待って二人とも、もう一匹来るはずなの。イーリア様達を乗せた魔獣が……」


 キョエエエエエエエエエエエエエエエエエ


「あ、来た」

「えっ、なになに今のけたたましい鳴き声!」


 その魔獣は、蛇行運転どころかグルングルンと旋回したり乱高下を繰り返しながらこちらへ徐々に近づいてきた。


「わ、真っ赤な魔獣だ! かっけー!」


 シリル少年は赤がお好きなようだ。


「…………前回にも増して激しい動きでございますね」

「やっべぇな、あっちに乗らなくてよかったぜ」

「俺、もー二度と乗らない」

『………………』


 ゴクリ、前回の蛇行運転の被害者たるタイタ、エビー、サゴシ、ペータ、メリーが唾を飲み込む。


「来るのが遅いと思えば……何を遊んでいるんだ全く」


 ザコルは眉間を揉んだ。


 朱雀は地上に私達を見つけると、一瞬で高度を落としてきた。もはや垂直に近い角度の滑空である。ぎょわああああ、と人間の悲鳴らしきものも聴こえる。私は「南無三」と唱えて合掌した。






「義母上。またわざと荒い運転をしたでしょう」

「スザクも楽しそうだったぞ。なあスザク」


 キョエエエエエエ!!


「そういう問題ではありませんと何度」


 全く悪びれないイーリアにザコルがガミガミと怒る。


「部下はともかくラーマも乗せているのに!」


 部下、つまりマージと穴熊はかろうじて立っていた。顔色は最悪だが。


「ラーマ、ラーマ、大丈夫!?」

「ねえミカ、ラーマしぬ?」


 倒れているラーマと真剣に心配するシリルを見ながらリラが私の袖を引く。このスーパーコミュ強幼女、身内のおじさんには厳しいタイプか。


「いや、馬酔いみたいなものだから死にはしないと思うよ。あ、でもラーマさん、首や腰は大丈夫ですか。しびれとか」


 神経を損傷などしていたら大変だ。私は乾いた目をこすった。こすっていれば涙の一滴くらいは手につくはず。


「? ミカ、めがかゆいの?」

「ちょっと髪が入っちゃって。ラーマさん、返事できますか」

「ご……っ、ご心配おかけして申し訳ございません。大丈夫、でございます」

「本当に? 後で気持ち悪くなったら言ってくださいよ。シシ先生やコマさんにでもいいですから」


 私はしゃがみ、多少、湿ったか湿らないかという指先でそっとラーマの首に触れる。こんなので効果があるか判らないが、念のためだ。


「ミカ」

「さあ、日も暮れちゃうし案内してもらおうか。エビー、タイタ。ラーマさんに肩を貸してあげて」


 私は咎めようとしたザコルをかわし、さっと立ち上がった。




つづく

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