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――山に入ってから3ヶ月後。


俺のレベルは35になっており、ゴブリンはすでに敵ではなく容易に倒すことが可能になっていた。


名前:シルム・カサーク

職業:傘使い

レベル:35

スキル:豪腕Lv.4 気配察知 鉄壁Lv.2


気が付けば豪腕のスキルレベルが4に上がっていた。

気配察知はレベル20になる頃に獲得し、周囲の生物気配を察知することができた。

そして3つ目のスキル鉄壁。

これは受けるダメージを軽減する効果ある。


この世界は漫画や小説、ゲームのようにスキルを獲得したら声などが聞こえるわけではない。気が付けば手に入っているのだ。


それに加え傘の強度は鋼鉄並みになっており、もはや傘とは言えない強度を誇っていた。これで簡単には壊れないようになり、安心して振るうことができた。


そんなこんなで俺はいつものように魔物を倒しながら森を徘徊していると、片目が潰れた虎型の魔物を発見した。


(あれは山に入って俺を襲ってきた奴と同じ魔物だ)


 だが奴はまだ俺に気が付いていない。

 一瞬逃げようと思いはしたものの、ここで因縁の相手である奴を倒せば一つ上のランクに上がれると考えた。

 強くなるにはいつかは戦う相手なのだ。レベル的には互角か敵の方が少し上なくらいだろう。


 俺は戦う決心をし奴の前に姿を現した。

 姿を現した俺にグルルルルっと、低い唸り声を上げこちらを睨むように警戒する虎型の魔物。奴にとっても俺は因縁の相手だろう。


「よう、久しぶりに会ったな」


 俺は笑みを浮かべそう告げた。


 まあ、魔物に人の言葉が通じるわけないが……


 一色触発の中、先に仕掛けたのは敵である虎の方だった。

 俺をまだ餌として認識しているのだろう。

 今度は逃がさんとばかりに素早く俺に接近し噛みつこうとする虎だったが、次の瞬間にはボゴッという鈍い音と共に後方へと吹き飛んだ。


 何が起きたかと言うと、スキル豪腕で腕の筋力を強化して鋼鉄の肩さと強度を誇る傘で突っ込んでくるトラの横顔を叩いただけである。

 恐らくクリティカルヒットだと思う。だって凄く手ごたえがあったんだもん。


 口元から血を流しながらも立ち上がる虎型の魔物。

 先程よりも視線が鋭くなった。それと同時に肌に直接伝わるピリピリ感。これはそう、殺気だ。

 俺を取り逃がした獲物ではなく、敵として判断したのだろう。


 見てわかるほどに力が増していくトラを見て俺も気を引き締めた。

 先程の攻撃はまぐれだ。俺の事を獲物として見ていたからこそ出来ただけである。

 ここからが本当の勝負の始まりだ。



 虎は俺を警戒して動こうとはしない。

 数秒いや数分、俺達は互いを警戒して動かなかったが、とうとうトラが我慢できなくなったのか俺に襲い掛かってきた。

 先程は違い、俊敏さを活かして俺の周囲を高速で移動するトラ。


 いつ攻撃が来るかわからない。

 俺は周囲に神経を張り巡らせ気配を感じることに集中した。

 ヒュンヒュンと風を切る音が前後左右から聞こえてくる。


 そして前と左右から一瞬音が消えた。


「――ここだ!」


 背後に向かって傘を向け開いた。するとキンッという甲高い音と火花を撒き散らしながらトラの鋭い爪を防いでいた。


(いや、マジでこの傘性能おかしくない?)


 そう思わずにはいられなかった。

 傘の開閉は魔力を流せば出来るようになっている。


 俺は一瞬で傘を閉じ横に爪を逸らす。通り過ぎ様に一撃、腹部へと傘を叩きつける。

 だが当たり所が悪いのか、はたまた己を強化しているのか俺には分からないがダメージは少ないようだった。


 仕返しとばかりに長い尻尾が俺に迫った。咄嗟に傘で防ごうとするが体勢が悪く腹部に直撃し吹き飛ばされてしまう。


「ぐぁっ!!」


 そのまま近くの木に叩きつけられ地面を転がる。


「――ごはっ……」


 俺は口から血を吐き、それに加え腹部と背中がズキズキと痛む。

 恐らく肋骨数本は折れているだろう。


 だって異常な程に痛むんだもん……


 だがすぐにトラへと視線を向ける。トラは早々に俺を仕留めようと数メートル先からその鋭い爪を振り下ろそうとしていた。


 まだ距離はあるは嫌な予感がしすぐさま傘を目の前に展開すると、振り下ろされた爪から斬撃のようなモノが放たれこちらに物凄い勢いで迫り――衝突した。


「――うっ、ぐっ!!」


 若干後退する俺だったが、ここで頑張らなければ死ぬのはこちら側。


「うおりゃぁぁぁぁぁぁあ!!」


 ――気合一発。


 スキル豪腕と鉄壁を駆使しなんとか防ぐことに成功したが――戦いは終わってはいない。





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