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大魔女ウァルギリア

side.フィルメランジェ・ルーシャン

どうして、お祖母様の予言通りにならないのだろう。


お祖母様の予言に近い出来事は起きる。


でも、その度に何かに阻まれている様に悉く予言が完遂する事はない。


フィールドワークで教会に行けば、倒壊寸前の箇所があったから改修工事中だと言われて追い返された。


夜、誰もいなくなったのを確認してからこっそり中に入れば、帳面に記されていた教会の内部と異なっていて何処に【めざめの霊廟】があるのか分からず、結局、何も出来ずに帰る事になった。


大型のクラーケンを帝国の将軍が釣り上げた事で、来年の第8皇子殿下の初公務となる北部海域での軍事演習の予定を変更して、帝国領土視察になったと言う話を聞いた。


予言では、帝国が王国に攻め入る筈だったのに。


それを、聖女候補となった私が止める筈だったのに、変わってしまった。


ヴィルヘルム第2王子殿下の婚約者であるラグナート辺境伯嬢から嫌がらせを受けている、と親しい友人達に打ち開ければ、いつの間にかその友人は私の元を離れていった。


確かに、嘘は良くないと思う。


「ねえアマリア。貴女、魅了の鐘を見た事はある?」


「私が聖女候補であったとしても教会の秘宝と呼ばれる品を拝見出来る機会はありませんわ。


何故、その様な事を聞くのです?」


アマリアは聖女候補になってから自信が付いたのか、魔女の末裔である事を悟られる様な真似をしてはならない、と私に言う様になった。


お祖母様の故郷である魔女の村の住人達が、私が自分達に不利益になる様な事をしているのではないかと気を揉んでいるから、これ以上の派手な行動は慎む様に、と。


帳面に記された予言には、私が第2王子殿下と恋仲になる、と取れる記述があるのだもの。


予言通りに行動する事で、魔女の正当性を皆に示さないといけないんだもの。


その為には、魅了の鐘くらい、強い力を持った魔道具が必要になってくるのだもの。


『貴女、このままでは破滅するわよ』


私の前に姿を現したのは、古い時代の黒いドレスを身に付けた長い黒髪を結い上げている女性だった。


『お祖母様が大好きだと言う気持ち自体は否定はしないけれど、その為に自ら貴女や、お祖母様を貶める様な行動は止めた方がいいわ』


「貴女に、何が分かるの」


『分かるわ。だって、あたし魔女だもの』


ウァルギリア。


その人は、大魔女様と同じ名前を名乗った。


『貴女のお祖母様は、貴女の幸せを願っていた。でも、このままでは貴女に待ち受けるのは破滅だけ。それは、貴女も貴女のお祖母様も望むところではないでしょう?』


だから、お祖母様の帳面を渡しなさい、とウァルギリアは言った。


この帳面を持ち続けていたら不幸になる、だから渡しなさい、と。


私は、お祖母様の帳面をキツく抱き締めた。


『…渡すつもりは、無さそうね。嗚呼、とても億劫だけれど、こ(・)の(・)方(・)法(・)し(・)か(・)な(・)い(・)わ(・)ね(・)…』


ウァルギリアの手元が光る。


光が収まった時、私は自分の身に起きた恐ろしい変化に気が付いて涙した。

大魔女ウァルギリア


種族・魔女の大魔女。【めざめの霊廟】を隠す教会が改修工事を施された結果、数千年ぶりに目を覚ました。

自分の眷属の末裔達が国内で差別対象となっている事を知るが、今を生きる人類が解決すべきと捉えているので本人が動く事はしない。


魔女の村の滅亡を予見した為、鍵となるフィルメランジェに接触した。

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