やればやるほどあだになる3
休憩何て、忘れてた。
クロエちゃん達とお茶もしたし、自分で休憩を取るとか、そんな事して良いのかも分からなかった。
考える事が他にいっぱいあって、兎に角、仕事しなくちゃって、色々あって私……。
私、だから、仕事に……。
菊子は目を閉じる。
私、疲れて……いるよね。
宙を仰ぐ菊子。
休憩……した方がいいよね。
でも……。
カップの載ったお盆を持って雨の部屋の前に立つ菊子。
扉をノックすると「入って」と雨の声。
菊子が扉を開けて中に入ると雨は机に向かっていた。
ノートパソコンの画面を難しい顔を浮かべ見て、何やらやっている。
「コーヒー、お持ちしました」
決まりきった事を菊子が言う。
雨は菊子の方を向くと笑顔で、「ありがとう」と言う。
「どういたしまして。電話とか、何事かと思いましたよ」
菊子がそう言うと雨は、「わざわざ呼びに行く手間が省けて良いだろ。あ、日向にも菊子の電話番号教えておこう。良いよな、菊子?」と言う。
「ご勝手に」と菊子。
続いて、「あの、コーヒーは何処に置きましょう」と菊子は雨に訊ねる。
「あ、そこのテーブルに」
言われて菊子は部屋の真ん中にあるガラスの天板のテーブルにコーヒーを置いた。
雨がテーブルまでやって来て視線をテーブルのカップに向ける。
その視線が菊子に移る。
「菊子、俺はコーヒーは二つって言ったけど」
テーブルに置かれたカップは一つだけ。
「はい。コーヒーは二つ用意しました。私の分はキッチンのテーブルの上にあります。私はキッチンで一人で頂きます」
明るく菊子はそう言った。
「どういう事?」と雨が菊子に訊ねる。
優しい訊き方であったが雨の顔は笑ってはいなかった。
そんな雨を見て菊子は焦る。
「あ、いえ、変な意味じゃ無くて。私、キッチンにいると落ち着くんです。だから、あそこでコーヒーを飲みたくて。あ、別に目黒さんといると落ち着かないって意味じゃ無くて。勿論、目黒さんの誘いも、お気持ちも嬉しかったですけど、目黒さんにだってゆっくりして欲しいですから、私と一緒にいるより目黒さんも一人の方が良いのかな、何て」
そうぎこちなく話す菊子を見る雨は明らかに納得していない様子だった。
「えーっと」
菊子は他に言葉を探すが、それは見つからない。
だって、話せないじゃない。
あなたの事でクロエちゃんとトラブってるから一緒にいるのはまずい何て。
つい、菊子は苦い顔をしてしまう。
「菊子、何かあった?」
真剣な表情を浮かべて雨は言う。
「えっ?」
息を詰まらせる菊子。
雨の探る様な目を避けて菊子は「別に何もありませんよ」と答える。
「柚李さんの事?」




