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恋、しません?  作者: 円間
第二話 襲撃。恋してないですが恋のライバル現る
121/172

半分死んでますが何か?5

 それにびっくりする菊子。


 泊るだけなのに、何故にスーツケース?


 と本人には決して問えない。

「遅いわ」とクロエ。

「も、申し訳ありません」

 クロエは、ふんっ、と鼻を鳴らして家の中へ入って行く。

 玄関の鍵を閉めて、菊子はクロエに、「あの、二階のゲストルームの準備が出来てますから、お荷物、そちらへお運びします」と言う。

 クロエは一瞬嫌そうな顔をしたが、スーツケースと睨めっこを始めて、「お願いするわ」と言った。

 やれやれ、と思う菊子。

 二人は靴を脱ぎ、廊下を歩いて二階へ向かう。

 前をかって知ったるクロエが歩き、その後をスーツケースを持ち上げた菊子が続く。

 スーツケースは白のアルミフレームの物。

 サイズが大き目で、中に何が入っているのやら、浮かせて持つと重かった。

 階段に差し掛かるとスーツケースの重さは地獄であった。

 スーツケースが階段に当たらない様に注意しながら力を込めて運ぶ菊子。


 これを二階まで……修行かな?


 何ぞ思う菊子。

「何ぼんやりしてるの? 早くして」

 苛立ったクロエの声に菊子は慌てて、「はい」と答えて、えっちらおっちらスーツケースを運ぶ。

 やっとの事で階段を上り終えた頃には菊子の額に汗が滲んでいた。

 一息ついていた菊子に「早く」とクロエ。


 鬼軍曹か!


 菊子は作り笑顔を浮かべて、「はい」と答えた。

 こうしてスーツケースをゲストルームに運び終えた時の達成感は何とも言えなかった。

「お布団は今、干していますから後でお部屋にお運びします。では、私はこれで」

 丁寧にクロエにお辞儀をして菊子が立ち去ろうとすると「待って」とクロエが菊子を呼び止めた。

 びくりと体を震わせ「何でしょう?」とクロエに訊ねる菊子。

 クロエは相変わらず不機嫌な顔で、「あなたに訊きたい事があるの」と言う。

 そんな不機嫌な顔をして一体何を聞きたいと言うのか。


 手短に頼むわ。


 菊子はそう願う。

 クロエは「雨にいの事だけど」と言って腕を組む。

「はい」

 菊子は取り敢えず返事だけをする。

 これから何が始まるのか想像しない様に菊子は勤める。

 想像すると恐らく地獄しか見えない。

 菊子は無心になれ、と己に命じるのだった。

「あなた、雨兄いのどんな所が好きなの?」

 クロエの台詞に菊子は、「えっ?」と内臓から音を響かせる。


 なに聞いてるの?

 ちょっと!

 ちょっとーっ!

 ちょっと待ってーっ!


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