半分死んでますが何か?4
「何? 人の顔、じっと見て。まだ何か付いてる?」
雨に言われて菊子は我に返る。
「付いてますよ。目と鼻と口が」と菊子が言ってやると雨は笑い「確かに」と言った。
「じゃあ、俺は部屋に行くから」
「はい、あ、新聞」
菊子はワゴンに載った新聞を雨に手渡す。
「ありがとう」と雨は言う。
「いえ、遅くなって申し訳ありません」
「全然いいよ。じゃあ」
雨は菊子に軽く手を振ってダイニングを出て行った。
一人になった菊子は後片付けを始める。
テーブルに残った二枚の皿に目を向けて、菊子は、あれっ? と思う。
二枚の皿は綺麗だった。
確か、日向さんがクロエちゃんは残したって……。
菊子は皿を持ち上げて上に載ったスプーンを落とさない様に気を付けながらワゴンに載せ、空のグラスも水差しもワゴンに載せながら終始首を傾ける。
綺麗に食べ終わった後の皿二枚。
何かが引っ掛かるが、それが何なのか菊子には分からない。
「まぁ、良いか……」
テーブルを拭いて綺麗にすると、菊子はワゴンを押してダイニングを後にした。
昼食の片付けに、また掃除。
菊子に安息の時は無い。
そう言えば、夕飯どうしよう。
昨日、買い物に行ったけど今日の夕飯の事まで考えて買い物しなかった。
お昼に謎のカレーを作ってしまったから何とか夕飯で名誉挽回しなくては。
階段を掃除しながらそう思う菊子。
すると、インターフォンの音が聞こえた。
菊子は急いでキッチンに向かい、インターフォンのモニターのスイッチを押す。
モニターにはクロエの顔が映し出された。
クロエちゃん、帰って来た。
えっと、どうしよう。
ここは、わざわざ皆んなに知らせるより私が出迎えなきゃ、よね?
クロエとの接触を出来るだけ控えると決めたのに早々面会か、と思うと、何だかな、と感じる菊子だった。
仕事よ、仕事!
と菊子は気持ちを入れ替える。
「クロエさん、お帰りなさい。今、お迎えに上がりますから」
画面に向かって菊子が優し気に言うと、クロエが、「あなたが? 早くして」と頬を思いっきり膨らまして言った。
うっ、早速不機嫌!
ずきりと痛む胸を押さえ、「ただ今参ります」と言うと、菊子はキッチンを出て廊下を走った。
玄関の鍵を開けて扉を開くと、すでにクロエは玄関の前で待っていた。
クロエはスーツケースを持参していた。




