半分死んでますが何か?3
取り敢えずは、クロエちゃんがいる間は私からの目黒さんとの接触は出来るだけ控えよう。
クロエちゃんを刺激しない為にも彼女との接触も控える。
家政婦として仕事に専念しよう。
甘えていると思われる様な仕事ぶりじゃあだめだ。
そう決めて菊子は仕事に集中した。
調理器具を片付けてしまってから、新聞をまだポストへ取に行って無い事を菊子は思い出す。
これだから言われちゃうのよ。
しっかりしなくっちゃ。
菊子はキッチンから出て玄関から外へ向かい、ポストを開けた。
ポストの中には新聞のみで他の郵便物は無かった。
新聞をポストから取り出すと真っ直ぐに家に戻る菊子。
手にした新聞をどうしようかと悩む。
そして、ダイニングテーブルの上にでも置いておこうと思い付く。
なら、ついでに昼食の片付けをしてしまおうと加えて考え付く。
日向はすでに食べ終えているし、クロエは出掛けている。
後は雨だが、彼もきっと昼食を食べ終えているに違いない、と菊子は思う。
菊子はキッチンに行き、ワゴンを取ると、それを押してリビングダイニングへ向かう。
リビングダイニングの前まで来ると扉をノックした。
中から、「ちょっと待ってて」と雨の声がした。
「はい」
返事をする菊子。
待っててって、どうしたんだろう?
少しして、雨の、「どうぞ」の声。
菊子は「失礼します」と扉を開く。
雨はテーブルについていて、グラスの水を飲んでいた。
「片付け? 直ぐ水飲んじゃうから」
雨が言う。
「あ、大丈夫です。ゆっくりで。まだ召し上がってたんですね? タイミング悪くてすみません」
「いや、全然。今、食べ終わったところだから」
雨はグラスの水をゴクゴクと飲み干すと、「ご馳走様でした。カレー、凄く美味しかった」と菊子に言って車椅子を動かし、ダイニングを出ようとする。
「あ、目黒さん、待って!」
菊子に言われて車椅子を止めた雨。
「目黒さん、口の端にひじきが付いてます」
菊子の指摘で雨は自分の唇の辺りを探る。
「何処? 分からない」
雨は全く見当違いな所を探っている。
「あ、もうちょっと下です。いや、微妙に上」
菊子が指示を出すも、雨は全くひじきの居所を掴めなかった。
菊子は段々苛立って来る。
「ああっ、もう!」
雨に近寄り、「じっとしてて下さい」そう言うと、菊子は雨に付いたひじきを摘まむ。
菊子の指に摘ままれたひじきを見て雨は、「ありがとう」と笑顔を見せる。
その笑顔を見て、菊子は思う。
こんな、ひじきを顔にくっ付けた子供みたいな人、クロエちゃんも柚李さんもどこが良いんだろう。
確かにかっこいいし、魅力的な人ではあるし、この家に来てから、微妙にどきどきさせられる事もあるけど、イコール好きには私はならないわ。




