半分死んでますが何か?1
午後十二時をとうに過ぎた時間。
目黒家の昼食。
メニューはカレーライス。
その具はこうであった。
こんにゃく。
乾燥椎茸。
細かく切った人参。
鯖(缶詰)。
ひじき。
じゃがいも。
牛肉(高級)。
ワイルドに刻まれた玉ねぎ。
炊き込みご飯のごとくな具が混じり込んだカレーを、雨、日向、クロエの三人は、これどうしたら良いの的な顔で口にしていた。
菊子の姿は食卓には無い。
菊子はキッチンに一人でいた。
「はぁっ」
菊子の口から憂鬱なため息が終始漏れる。
クロエとの一件後、菊子の心は此処にあらずであった。
クロエちゃんに嫌われた。
凄いショック。
あんな天使みたいな子に嫌われるとか、何の罰?
罪と罰?
菊子は使った調理器具を片付けながら絶望感にさいなまれていた。
日向に叱られ、クロエにも嫌われているとなると菊子には食卓に自分の居場所は無いという気がした。
だから昼食をエスケープした。
ダイニングでテーブルに座った三人の前に皿を置いて立ち去ろうとする菊子に雨が「菊子の分は?」と訊ねた。
菊子は微妙な微笑みを浮かべて「私、ちょっとお腹の調子が悪くて。お昼は遠慮させて頂きます」と雨に言った。
その時の雨の心配そうな顔。
「大丈夫か?」
そう言う雨に「大丈夫です」と答えた菊子だが、心の中は違っていた。
大丈夫じゃ無いです!
色んな意味で大丈夫じゃ無いです!
私、死んでます、はい!
「じゃあ、失礼致します」
そう、テーブルに集まった面子に言って素早くダイニングを後にした菊子なのだった。
何とかクロエちゃんの誤解を解かないと。
私が目黒さんに恋愛感情は全く抱いて無いって事を分って貰わなきゃ。
でも、どうやって?
仕事の手を休めずに菊子は考える。
クロエちゃんがいる間だけでも目黒さんに冷たい態度を取るとかがベター何だろうけど、それじゃあ目黒さんが可愛そうだし。
いや、目黒さんと口裏を合わせるとか?
目黒さんだってクロエちゃんの気持ちを知ってる訳だし。
いや、しかし、私が目黒さんに自意識過剰な女と思われるかも?
クロエちゃんが私にライバル心を抱いているらしいとか、目黒さんが信じる?
菊子、自意識過剰だな、ははっ……みたいな?
嫌すぎる!
「あーっ、もうっ、どうしたら良いのよ!」
頭を抱えて菊子は叫んだ。
「何叫んでるんだ、家政婦は」




