クロエ、暴走10
それも、スイートルームを思わせた。
この部屋なら客も、さぞかしゆっくりとくつろげるだろう。
菊子の部屋との違いと言えば、ドレッサーが菊子の部屋の物とは違って長四角の鏡の付いた黒のスマートなデザインの物になっている他、クッションなどのアイテムも白と黒のモノトーンの物で統一されている。
菊子はクロエの為に念入りに掃除をした。
シーツと布団はクローゼットの中にあったので布団はベランダに干した。
菊子はベッドにシーツを掛けるのに四苦八苦した。
一人暮らしの時は適当にやっていた菊子だったが他人様の家のベッドメイクなんぞ知らぬ。
スマートフォンでベッドメイクを調べてようやく完成させたのだ。
ゲストルームの掃除が終った事をクロエに伝えるべきか考えた菊子だったが、伝える事は、何となく止めた。
代わりに雨の部屋の扉の前でゲストルームの掃除が終った事を雨に伝えた。
雨から扉越しに、「ありがとう。ご苦労様」の声が返って来た。
次に菊子は脱衣室に行き洗濯機の様子を見る。
洗濯機は動きを止めていた。
洗濯完了だ。
菊子は洗濯機の中から洗濯物を取り出して、洗濯物の皺を伸ばしてから畳み、空いたかごに入れてゆく。
機械的に作業を進めて行く菊子。
と、手に取ったそれが雨の下着である事に気が付き、菊子の手が止まる。
黒のボクサーパンツ。
仕事とはいえ友達の下着の洗濯してるってやっぱり微妙か?
雨の下着片手に真面目な顔で考える菊子。
日向にはクロエの前で雨と仲良くしない様にと頼まれている菊子だが下着を洗濯している時点でアウトじゃなかろうか? と菊子は考えつく。
友達としてもアウトか?
菊子は雨の下着をかごに放り込んで洗濯機を漁った。
その中に自分のブラジャーを発見して菊子はそれから目を逸らす。
菊子は白いタオルを掴んで皺を伸ばす。
タオルを畳んでかごの上に載せて、その上に自分の下着を集めて置いていく。
雨の下着と自分の下着を一緒に置く事が躊躇われた為の防御策。
日向さんの警告の事もあるけど目黒さんの洗濯物と一緒って思ってたより気まずいかも。
日向さんの言う通り、別々に洗濯する事にすれば良かった。
が、今更だ。
菊子は気持ちを切り替え、さくさくと作業を進める。
洗濯機が空になると菊子は腕を伸ばした。
結構疲れて来たけど、まだまだこれからだ。
洗濯物を干さなきゃ。
菊子は脱衣室の外側に通じる扉を鍵を開けて開いてみる。
「うわぁ」と菊子の口から感嘆の声が流れる。
そこはサンルームになっていた。
洗濯物が干せるだけの小さなサンルーム。
実際、洗濯物を干すだけのスペースと見えて、天井から吊るされた太い四本のロープの輪になった先には物干し竿が二本、輪に通して下げられていた。




