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第四十九話 NO6

南国。


海。


青かった。


管理局本部。


白い高層棟。


最上階。


冷房が効きすぎている。


巨大な窓。


街が全部見えていた。


ソファ。


男が寝転がっている。


小柄。


足を机へ投げ出していた。


肩。


赤いインコ。


羽を膨らませている。


男。


天井を見る。


退屈そうだった。


「終わった?」


担当者。


端末を抱えたまま頷く。


額に汗。


声が少し震えていた。


「南支部の排除は完了しております」


男。


鼻を鳴らす。


「そう」


興味が無い。


担当者。


少し迷う。


それから続けた。


「死者二十七名です」


沈黙。


男。


窓の外を見たまま。


「へえ」


それだけだった。


担当者。


言葉に詰まる。


男。


ようやく振り返る。


「何?」


「もっといた方が良かった?」


担当者。


慌てて首を振る。


「い、いえ」


男。


笑う。


「わざわざ中央から来てるんだから、さっさと終わらせるよ」


悪意は無かった。


だから余計に怖かった。


インコ。


肩の上で鳴く。


「キュル」


男。


指を差し出す。


嘴。


軽く甘噛み。


「メニー」


「お前は優しいな」


インコ。


羽を揺らす。


担当者。


話を戻した。


「西区と中央区に、まだハンター拠点が残っています」


「座標はこちらに」


端末を差し出す。


男。


一瞥。


それで終わりだった。


「雑魚狩りかぁ」


ソファから起き上がる。


伸びをする。


骨が鳴る。


「正直飽きたな」


担当者。


返事に困る。


男。


ポケットへ手を突っ込む。


「もっと面白いの無いの?」


担当者。


止まる。


少し迷う。


言うべきか。


言わないべきか。


数秒。


それから口を開いた。


「一件だけございます」


男。


目だけ向ける。


担当者。


端末を操作する。


写真。


数枚。


画面へ表示された。


闇闘技場。


地下研究所。


監視映像。


同じ男。


何度も映っている。


男。


少しだけ目を細める。


「誰?」


担当者。


喉を鳴らした。


「被験体776」


空気が変わる。


ほんの少しだけ。


男。


写真を見る。


もう一枚。


もう一枚。


さらにもう一枚。


どれも同じ顔。


「へえ」


初めて興味を持った。


担当者。


続ける。


「第四研究区関連資料を持ち出した可能性があります」


「また黒体との接触も確認」


「被験体99とも接触」


男。


口元が歪む。


面白そうだった。


「なるほどね」


担当者。


少し安心する。


興味を持ってくれた。


そう思った。


次の瞬間。


男。


立ち上がる。


「じゃあそっち行くか」


担当者。


固まる。


「え?」


「拠点じゃなくて?」


男。


笑う。


「雑魚掃除より楽しそうじゃん」


インコ。


肩へ飛び乗る。


赤い羽。


揺れる。


「なあメニー」


インコ。


鳴く。


「キュル」


男。


扉へ向かう。


足取りは軽い。


散歩に行くみたいだった。


担当者。


慌てて声をかける。


「NO6様!」


男。


振り返らない。


自動扉。


開く。


管理局職員。


全員が道を空けた。


誰も目を合わせない。


男。


ポケットへ手を入れたまま歩く。


「準備しといて」


「俺、運だけはいいからさ」


インコ。


肩の上で羽を広げる。


エレベーター。


扉が閉まる。


最後に残ったのは。


表示板。


《NO6》


その文字だけだった。


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