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第三十七話 第四研究区

翌日。


ハンター拠点。


廃ショッピングモール三階。


窓の外では雨が降っていた。


カイはソファへ寝転がりながら天井を見ていた。


頭の中には一つしかない。


第四研究区。


残響。


黒体。


失敗作。


全部繋がっている気がした。


だが肝心の中身が分からない。


「……分かんねえ」


起き上がる。


タマは窓際にいた。


黒い霧の身体を丸めながら外を見ている。


赤い目だけが動いた。


『近い』


まただ。


第四研究区の話になると反応する。


だがそれ以上は言わない。


言えないのか。


覚えていないのか。


分からない。


だから聞くことにした。


まずはメルだった。



昼。


古い喫茶店。


奥の席。


メルは端末を見ながらコーヒーを飲んでいた。


「第四研究区?」


眉が少しだけ動く。


「知ってるのか」


「名前だけ」


即答だった。


「場所は?」


「知らない」


「何をやってたかは?」


「知らない」


役に立たない。


メルは肩をすくめた。


「私の情報網でもほとんど出てこない」


「出てきても全部古い」


端末を操作する。


画面には大量のエラー表示。


「消されてる」


「意図的に」


止まる。


「管理局か?」


「多分」


コーヒーを飲む。


「少なくとも普通の研究施設じゃない」


それだけだった。


収穫は少ない。


だが一つだけ分かった。


隠されている。


それだけは確かだった。



夕方。


ハンター拠点。


ワイトを見た。


ワイトは椅子に座って煙草を吸っていた。


「第四研究区知ってるか」


煙が流れる。


数秒。


沈黙。


「知らん」


終わった。


「お前何でも知ってそうなのに」


「知らんものは知らん」


それだけだった。


収穫ゼロ。


カイは舌打ちした。


その時だった。


部屋の隅で煙草を吸っていた長コートが口を開く。


「エストなら知ってるかもな」


全員の視線が向く。


長コートは笑った。


「中央の情報も金で買ってる」


「管理局の裏事情も知ってる」


「第四研究区みたいな話なら持ってるかもしれねえ」


カイは止まった。


確かに。


エストならあり得る。


だが。


ライフルが即座に首を振る。


「やめとけ」


「何で」


「無料じゃねえ」


当然だった。


長コートも笑う。


「むしろ情報の方が高い」


フィーノが補足する。


「金で済めば安い方だな」


嫌な予感しかしない。


ワイトだけは静かだった。


煙草の灰を落とす。


「聞くだけなら自由だ」


「ただし」


目が向く。


「何か要求されるぞ」


断言だった。


カイは窓の外を見る。


雨。


暗い街。


第四研究区。


黒体。


失敗作。


頭から離れない。


タマが立ち上がった。


黒い霧が揺れる。


赤い目がこちらを見る。


『行く』


短かった。


だが初めてだった。


タマが自分から何かを望んだ。


カイは立ち上がる。


「決まりだな」


ライフルが顔をしかめる。


「決まってねえよ」


「エストに会いに行くだけだ」


「それが一番面倒なんだよ」


長コートが吹き出した。


フィーノも苦笑する。


ワイトだけが静かだった。


「なら行け」


煙が流れる。


「どうせ止まらんだろ」


否定できなかった。


第四研究区。


そこに何があるのか。


それを知る方法は、一つしか残っていなかった。


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