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第十四話 二核(前半)

 来るものよりも目の前が気になった。


 モニターだけが青白い光を放っている。


 タマは端末の横に座っていた。


 赤い目は画面から動かない。


 カイは椅子へ腰を落とした。


 肩が痛む。


 肋骨も痛い。


 でも気にならなかった。


 画面を見る。


 サカキ研究資料。


 クリック。


 読み込み。


 遅い。


「早くしろ……」


 指が机を叩く。


 ノイズ。


 画面が切り替わった。


 白衣の男。


 四十代くらい。


 痩せている。


 目の下に隈。


 疲れた顔。


【中央第4研究所】


【研究主任】


「サカキか」


 スクロール。


 文字。


 数字。


 専門用語。


 飛ばす。


 飛ばす。


 飛ばす。


 その途中だった。


【二核因子】


 止まる。


 視線。


 固定。


【二核因子適合体】


【776】


 沈黙。


 長い。


 776。


 もう一回。


 776。


 また。


 776。


 俺。


 二核。


 776。


 二核。


 俺。


 意味。


 分からない。


 でも。


 重要だ。


 分かる。


「……何だよ」


 スクロール。


 検査記録。


 数値。


 経過観察。


 また数値。


 また検査。


 途中。


 急に切れる。


 黒塗り。


 全部。


 黒塗り。


 止まる。


 スクロール。


 下。


 黒。


 また下。


 黒。


 さらに下。


 黒。


「見せろ」


 クリック。


 反応なし。


 もう一回。


 反応なし。


 また。


 反応なし。


【アクセス制限】


 舌打ち。


 閉じる。


 開く。


 同じ。


 閉じる。


 開く。


 同じ。


「見せろ」


 キーボード。


 叩く。


 反応なし。


 モニターへ顔を寄せる。


 近い。


 もっと近い。


 あと数センチ。


 黒塗り。


 見る。


 境界。


 見る。


 ファイル番号。


 日付。


 管理番号。


 何でもいい。


 残ってないか。


 探す。


【二核因子兵器転用計画】


 目が離れない。


 頭の奥が熱い。


「人間何に使う気だこのクソ共」


 リー。


 ワン。


 一瞬だけ浮かぶ。


 消える。


 今は違う。


 776。


 二核。


 黒体。


 記憶処理。


 全部繋がる。


 気がする。


 あと少し。


 あと少しで。


 何か見える。


「見せろ……」


 無意識だった。


 声が漏れていた。


 タマがこちらを見る。


 気付かない。


 視線。


 黒塗りへ固定。


 止まらない。


 止まれない。


 知りたい。


 何をされた。


 何を作られた。


 何で俺なんだ。


 何で生きてる。


 何でリーが死んだ。


 何でワンが死んだ。


 何で俺だけ。


 答え。


 答え。


 答え。


 机を蹴る。


 鈍い音。


 引き出しが揺れる。


 カイの視線が止まった。


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