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好奇心に満ちた笑顔

 クラゲたちの光が青から赤へと変わる。海底都市は午後3時過ぎだというのに夕闇のように赤い光に包まれる。危険を知らせるその光と鐘の音に緊張感が増す。


 円盤の底が開きそこからの光が都市の地面を照らす。再び円盤から何かが出てくるのか。長老や神官たちは物陰に隠れ様子を伺う。


 遅れて鐘の音を聞いた、ソラとオトが合流する。イルカのスズキさんもどこからか現れ二人のそばに寄る。


 円盤は海底都市の大神殿の上に浮かんでいる。都市は大神殿を囲むように円形に建物が配置されている。


 円盤から伸びる光で大神殿はスポットライトに照らされたように輝く。しばらくの沈黙が続く。都市全体を包む静寂にソラたちは緊張感が増していく。


 動きがあった。円盤からゆっくりと何かが降りてくる影が見える。ソラはよく目をこらすが見えない。海底都市の端の建物からでは中央の神殿から降りてくる物など豆粒ほどにしか視認できない。


 神官が水晶を長老に渡す。長老は円盤から落ちる小さな影へと水晶を向ける。魔力を帯びた水晶は輝きその中に映る影は拡大されていく。


「子供…?」


 オトが思わずそう口にした。オトのいうとおりその影の正体は少年。年は十二、三歳に見える。少年の靴のしたには皿のようなものがあり両足を載せている。その皿の下にはプロペラがありその回転により泡がたっていた。


 円盤から降りていく少年はプロペラの浮力により非常にゆっくりと海底都市を漂う。


 その光景を見ながら一同は少年の容姿に驚いていた。確かに子供だが間違いない。その容姿は天才魔道士アイオン・ヴァレフォールに似ている。彼を幼くした容姿と思っても納得する。


 長老の脳裏に一つの答えがでた。やはりあの円盤を産み出したのはアイオン・ヴァレフォール。魔力を帯びない謎はわからないが、あの男の仕業であると長老は判断した。


 海底都市の侵略のために円盤を用意し自らは離れた場所で見物していた。魔法で幼児化したのも彼の遊びの一つだろう。


 考えるべきは彼の思わくではなく今後の対策。切り替えようとした長老の耳に背後から声が届く。


「ほぉ、、、。」


 低く響く声。緊張のためか一同が背後を振り向くのに一拍の間が生まれる。長老の視界に二人の男の姿が入る。一人はメイド服、一人は黒のローブ。あべこべな出で立ち、だが顔は瓜二つ。


 アイオン・ヴァレフォール、そして久遠蒼真。ソラは瞬時に二人をそう判断した。一方の長老は困惑していた。二人がここにいる。ということはあの円盤から降りてくる少年は誰だ?


 疑問を浮かべながら長老は今、自分たちの置かれている状況の危機感に焦りをしめす。とっさに魔法を発動しようと手を男たちに向ける。長老の動揺は神官やソラたちにつたわる。


 一瞬のうちに長老の身体をツタが拘束する。アイオン・ヴァレフォールの魔法だ。ツタに締め付けられた長老は手を押さえつけられ魔法が出せない。締め付けの痛みから思わず声がもれる。


 アイオン・ヴァレフォールは神官やソラたちを目で威嚇する。一同は天才魔道士の威圧に身体が動かせない。


 それを横目に久遠蒼真は水晶に歩みより水晶の中に浮かぶ少年の姿を見つめる。


「なるほど。異界の私は子供か。

転移魔法。どういう理屈かはわからんが時間軸は違うようだな、、、」


 そう言って久遠蒼真は天才魔道士に解説を求めるように目を向ける。しかし、アイオン・ヴァレフォールは「俺もわからん。」と言うように顔をしかめ肩をすくめる。久遠蒼真は水晶に向きなおり口角を上げる。


「まあいい。どちらにしろあの少年は超科学の世界の私。くくく、どんなショーを見せてくれるのか、楽しみだ」


 天才作家の顔には子供のような好奇心に満ちた笑顔が浮かんでいた。




 

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