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時戻し

 ソラは水晶に映る少年を見て冷や汗がでた。自分とさほど変わらない年齢。そんな少年が一つの都市を世界を崩壊させる魔王になろうとしている。


 現に事実として住民たちはウサギに変えられ再生したといっても都市は半壊させられた。あの少年は街や人をオモチャとしか思っていないのではないか。理屈の通じないナニカ、化け物を相手にしている感覚。


 目の前に現れた二人。久遠蒼真とアイオン・ヴァレフォールにも得たいのしれない不気味さを感じる。そしてソラの感性には久遠蒼真の方が不気味に見えた。


 かつて魔王と云われたこの世界の住人アイオン・ヴァレフォール。だが彼の方が久遠蒼真に比べればまだ人間味がある。ソラはそう感じていた。


 ソラの直感は久遠蒼真に対して危険信号を鳴らしている。それは猛獣や殺人鬼と対峙しているような命の危険を感じているというわけではない。


 ただ恐らくこの男、久遠蒼真とはまともに会話ができないであろうという別の次元の生き物と対峙しているような恐怖。


 母から聞いたこの男の奇行。そして実際目の前にしてわかる印象。彼は好奇心の為に自分の命を差し出すのも躊躇がない。まして他人の命など、、、。


 この非常事態の海底都市で久遠蒼真が面白半分でなにを惹き起こすかわからない。ソラの不安は汗となって背筋をつたい恐怖を煽る。


 そんなソラをよそに久遠蒼真は水晶を見ながら空想を続け笑い続けている。周りの者たちはその不気味さに恐怖を感じる。


 アイオン・ヴァレフォールもあきれたような顔をする。天才魔道士の興味は円盤の少年にも水晶を見つめる天才作家にもない。


 ソラを見つめる。今朝の光景がアイオンの脳裏によみがえる。再生していく都市。あれほどの魔法。それを使ったのは誰か。


「貴様だな小僧。あの鉄の巨人の侵略を止めたのは、、、。」


 ソラは唾をのむ。目の前の男の威圧感に腰がひける。だが冥月王ほどの圧倒的な恐怖はない。やはりこの男はまだ人間味がある。


 ソラの前にいつの間にか拘束を解かれた長老が立つ。その目はアイオン・ヴァレフォールを威嚇するように鋭い。しかし、天才魔道士は長老など眼中に無いように話を続ける。


「貴様が異界の勇者だな。あの魔法、お前たちは都市が再生したと思ってるだろうが、違う。」 


 それを聞いた周りの者は疑問を浮かべる。実際ソラの魔法は都市を再生させた。都市全体への治癒の魔法。それがどう違うというのか、長老は疑問と警戒が顔に出る。


 アイオン・ヴァレフォールは続ける。かつて天才魔道士といわれた者の見解を。


「あれは時戻し。あの都市の時間のみを破壊される前に戻したのだ。

 ただの再生魔法であれば障害物である鉄の巨人は取り込むか、あれの周りだけ再生されないハズだ。」


 アイオン・ヴァレフォールは鋭い視線をソラに向ける。


「再生とすれば鉄の巨人への破壊魔法も同時に使ったことになる。

 だが時戻しであれば本来そこになかった鉄の巨人は時の逆行の中で異物として破壊される。」


 天才魔道士は天をあおぎ目を閉じる。


「時間操作の魔法はこの俺でも到達できなかった最強の魔法。

 小僧、お前は概念を変える魔法にたどり着けるかもしれない。」


 アイオン・ヴァレフォールは少し楽しそうに口元をゆるませた。


 


 


 

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