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生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第十四章 生まれ変わったら『悪役令嬢』のはずでした。
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第1話


「……」


 そうしてあっという間に来週になってしまった。


 ――結局、グレンも一週間姿を見せなかったし……って、ちょっと待って。


 あの時は辺りが騒然としていて忘れてしまっていたけれど……ふと思い返してみると、アーリアの話の中に本来は出て来るはずのない「ある人物」が出て来た事を思い出した。


 ――なっ、なんで『リュア』が出て来たの?


 確か、リュアはグレンの専属執事だったはずだ。


 ――それなのに……どうして彼の話が?


 一応、グレンが「一週間ほど学校を休む」という連絡はそのリュアから聞いている。ただ、貴族にも色々な『事情』というモノがあるため、あえて深くは追求していなかった。


 ――王子と知り合いだった……のかしら?


 考えてみると、グレンと出会ったのも幼少期に行った王子主催のお茶会だ。その可能性は否定出来ない。


 ――もしそうなら、リュアがあの場に出て来てもおかしくは……。


 いや、それならば王子専属の執事などが出て来るはずだ。


「……? と、着いたわね」


 今更ながら過ぎった疑問に首をかしげている内に、どうやらアーリアが指定した通り植物園に着いたらしい。


「……」


 公爵令嬢である私の家にも『庭園』というのはあったモノの、ここまで大きな『植物園』を見たのは初めてだった。そして、植物園の中に入ると……。


「え」


 そこにいたのは、アーリア……と。


「なんで、ディーンが」

「……お帰りなさいませ、お嬢様」


 なぜか寮にいるはずのディーンの姿だった――。


◆  ◆   ◆   ◆   ◆


「ディッ、ディーン。どうしてここに?」

「……少し。お話をしなければいけないと……思いまして」


 驚きのあまり、声が裏返ってしまっている私に対し、ディーンは申し訳なさそうな表情を見せる。


「話?」

「ええ」


 状況が未だに飲み込めない私に対し、アーリアは「とりあえず座って座って」と言わんばかりの笑顔で私に手招きをして、イスに座るように促した。


「……?」


 ――なんで、アーリアがディーンと仲が良いんだろ?


 言われるがままイスに座った私だけれど、チラッと視線を向けると、アーリアはディーンにお茶のおかわりを頼んでいる。


 しかし、その様子は……どことなく「初めて会った」という感じがしない。


「気になりますか?」

「え……まっ、まぁ。確か、アーリアはディーンと初対面はずだから……」


 そう言うと、アーリアは「まぁ、そうですよね。それが普通の反応ですよね」と苦笑いを見せる。


「?」


 ――どうしたんだろう?


「……うん、そうね」

「?」

「お姉様」


 アーリアはいつになく真剣な表情で私の方を見る。


「なっ、何?」

「これから色々な話が出て来るけど、それはどれも全て『事実』で……。だから、時間はかかっても受け止めてくれるとうれしいです」

「え?」


 アーリアは「何かを決心した様に」私にそう言う。


 ――どっ、どういう事?


「お嬢様」

「なっ、何?」

「実は、アーリア様は……同じなんです」

「……同じ?」


 ――ん? ちょっと待って。それって……。


「あのね、私。実は『天使』なの」

「……」



 アーリアはさらに「突然こんな事を言ってごめんなさい」と言って下を向く。


「……」

「えーっと……」


 ここでどういった反応をするのが正解だろう。実のところ、私は二人が話をしているのを聞いてしまったため、アーリアが「天使だ」という事を既に知ってしまっている。


 ――いつかは言われるだろうとは思っていたけど。どっ、どうしよう……。


 まさか「今」言われるとは思っていなかった。


 心構えなんてしていない。しかし、下手な言い訳はすぐにバレてしまうだろう。しかし、この状況で「何も言わない」という選択肢はない。


 ――こっ、ここは。


「まっ、まぁ。確かに驚いたけれど……えっと、究極の事を言ってしまえば『だから何?』ってワケだし」


 私は視線を泳がせつつ、そうアーリアに言う。


――うっ、嘘は言っていないし。


 確かに「ゲームの設定」とは大きく違うモノの、だからと言って大きな問題があるワケではない。


 ――現にこうしてちゃんと学校生活が送れているワケだし。


「本当!? 良かった~」

「!」


 しかし、アーリアは相当緊張していたらしく、私の言葉を聞くと、とても嬉しそうな表情だった。


「……」


 ――こっ、この事は墓場まで持っていこう。


 あまりにも嬉しそうなアーリアに、私は罪悪感を覚えながらも、そう心の中で強く誓った。


「ああそうだ、実はもう一人ここに来る予定なんです」

「もう一人?」


 そう聞き返すように言ったところで……ちょうど植物園のドアが開き、そこにいたのは……。


「――グレン」


 顔を下に向けたままのグレンが立っていた――。


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