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生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第十三章 『アイテム』
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第5話


「……」


 ――やっぱり。


 そうして授業が始まったのだが、どことなく教室内は落ち着かない雰囲気だった。


◆  ◆   ◆   ◆   ◆


「……ふぅ」


 そのままあっという間にお昼休みになり、どことなく落ち着かない雰囲気のまま過ごしてしまったから、何となく疲れてしまった。


「大丈夫ですか? お姉様」


 思わず出てしまったため息に、アーリアは心配そうな表情で私を見る。


「え、ああ。大丈夫よ」


 ――いけない。しっかりしなくちゃ。


 そう気を取り直そうとすると……。


「……」


 なぜかもの凄くアーリアの視線を感じた。


「なっ、何?」

「あ、いえ。ひょっとして、今日の朝、騒ぎになっていた事が気になるのかな? って思って……その」


 ――そんなに表情に出ていたかしら?


 自分ではそんなつもりはなかったが、どうやら相当表情に出ていたらしい。


「まぁ、そうね。あんまり詳しい話は聞こえなかったけれど……何か知っているの?」

「えーっと、そうですね。私もちょっと小耳に挟んだ程度で詳しい話は……」


 ――まぁ、そうでしょうね。


 多分、公に情報が開示されたとしても、全てが明かされる事はないだろう。


 しかし、今日の人だかりを見た限り。本人たちの意思に反して様々な憶測や噂は拡散して行くに違いない。


 ――現に、アーリアの耳に入っているみたいだし。


「それで、どういった話を聞いたの?」

「えっと……ですね」


 そうして聞いたアーリアの話では、どうやらゲーテ王子は主人公からもらった『クッキー』を従者であるリュアが変身魔法した姿だったらしい。


「それでその従者の方なんですけど……」

「?」


 なぜかアーリアは私の耳に顔を近づける。


「その方。なんでも毒が効かないらしいんです」

「え、本当に?」


 思わず驚きながら尋ねると、アーリアは「そうらしいです」と答える。


「……」


 リュアの事はあまり詳しく説明されていなかったが、まさかそういった「特殊」とも言える特技があったとは思いもしなかった。


 ――あれ、でも待って。


 そうなると……王子にあの『アイテム』を使った時に、すぐにバレてしまうはずだ。


 ――ああでも。王子にあの『アイテム』を使おうと思ったら、まずリュアと仲良くなっておかないといけなかったんだわ。


 仲良くなっていなくても使えなくはないのだが、すぐにバレてしまう。だから、ハーレムエンドを目指すには「まずリュアと仲良くなるべし」と言われる程である。


 ――なるほどね。


 実はその詳しい理由を知らずにゲームをプレイしていたため、ようやくその理由が分かり、何となく胸のつかえが取れたような気になった。


「しかも毒に詳しいらしくて、その方が解毒薬を作成して……」

「それを彼らにも渡した……というワケね」


 そう言うと、アーリアは「そうです」と頷いた。


 ――でも、とんでもない手際の良さね。


 確か、主人公から『クッキー』をもらったのは「昨日」の話だ。そこからの急転直下。それは「まるでこうなる事が分かっていた」と言わんばかりだ。


「……」


 私はその事実に考え込んでいると……。


「あの、お姉様」


 アーリアはおずおずと私に声をかける。


「あ、ああ。ごめんなさい、何?」

「来週の放課後。お時間ありますか?」

「え? 来週? たっ、確か何も予定はないけど……」


 そう答えると、アーリアはなぜかホッと胸をなで下ろしている。


「?」


 なぜそこまでホッとしているのかは分からないけれど、とりあえず。アーリアは何か話したい事があるらしい。


「じゃあ、来週の放課後。植物園まで来て下さい」


 アーリアは笑顔でそう言ったタイミングで昼休み終了を告げるチャイムが鳴り響いた――。


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