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生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第十三章 『アイテム』
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第4話


 ――でっ、でも。本当にどうしよう……。


 思い返してみると、確かに『違和感』というのは主人公の姿と攻略キャラクターたちの姿を見た時からあった。


 ――だって、あまりにも「早すぎた」から。


 その仲の良さは、とても入学して数週間で出来る様なモノではなく、それこそ「小さい頃からの延長」と言わんばかりだった。


 ――でも、これが本当に『アイテム』によって「作り出されたモノ」だったとしたら。


 主人公の辿る末路は両極端な二つしかない。


「……」


 いや、本来であれば『ハーレムエンド』と『ゲームオーバー』の二つなのだが、正直なところ『ハーレムエンド』は難しいだろう。


 ――だって……。


 ゲーテ王子はあまり主人公に良い印象を持っている感じがしないのだ。


 ――むしろ毛嫌いしている様にすら感じる事があるけど。


 ただ、それが主人公に伝わっているか……と言うと「暖簾に腕越し」といった感じではあるが。


 主人公であるはずの『エステル』が転生者であるのはほぼ間違いないだろう。そして、私は『悪役令嬢』だ。


 本来であれば、私は彼女の邪魔をしなければいけない役どころなのだが……。


 ――でも、それと同時にこの世界を生きている一人の人間。


 つまり、言ってしまえば私は『カナリア・カーヴァンク』という名前と姿形を受け継いだに過ぎず、実際のところ。ここは「ゲーム」ではなく「現実」の世界なのである。


 ――だから「絶対」にストーリーの通りに動く必要はないモノ。


 そして現に私はストーリー……いや、設定通りではなく毎日を過ごしているが、特に大きな問題は起きていない。


「それにしても……一体どこに行ったのかしら。ディーン」


 なんて、この時は他人事の様に言っていたのだけれど、その答えを知るのは……もう少し後の事だった――。


◆  ◆   ◆   ◆   ◆


「……ん?」


 朝。いつもの様に登校すると、そこにはなぜか人だかりが出来ていた。


 ――どうしたんだろ?


「?」


 いつもであれば気にしないところだけど、昨日の事も気になり、私はその人混みの中へと進んで行くと……。


「ちっ、違うの! 私は決してみんなを騙そうと思っていたワケじゃ――」

「うるせぇ!」


 そこには主人公と攻略キャラクターたちがおり、不思議な事に何やら言い争いをしている様だ。


「?」


 ――なっ、なんで?


 私の記憶が正しければ、彼らと主人公はつい先日もみんな仲良くお昼を食べていたはずだ。


「騙そうとしたワケではない? ではなぜ、この様な『薬』が出て来るのですか?」

「しかも、君。それをあろう事か殿下にそれを使った『クッキー』を食べさせようとしていたんだよね? それで信じて欲しいって、虫が良すぎると思わない?」


 そう続ける二人も既に攻略されたはずのキャラクターだ。


 ――どっ、どういう事?


 困惑する私を置いて三人は主人公に対し、言い寄っていて、主人公はそれに対し言い淀んでいる。


「うぐ」


 ――でも、ここで言い淀むって事は……。


 要するに「本当」という事なのだろう。


 ――あれ、でも。


 しかし、軽く辺りを見渡したモノの、周辺にゲーテ王子の姿はない。


「――それで三人で寄って集るのか」

「でっ、殿下!」


 そんな時。ふいにゲーテ王子が私の後ろから現れ、私は思わず振り返った。


「はぁ、こんな朝早くから醜い言い争いをするな。しかも、こんな人が集まる場所で」


 ため息混じりに言う王子に対し、三人は「しかし」となんか言いたそうだったけれど、殿下の後ろにオドオドした様子のアンディの姿を見ると、すぐに黙った。


「あ! 殿下! あの、私……」

「――連れて行け」


 何を思ったのか主人公はゲーテ王子に対し、猫なで声で近づこうとした瞬間。すぐにそう言うと……。


「はい」


 そう言って突然リュアが現れ、主人公だけでなく攻略キャラクター共々全員そのまま連れて行かれてしまったのだった――。


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