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生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第十三章 『アイテム』
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第2話


 あまりにも王子の態度が良くなかったため、主人公は一瞬「ビクッ」と怖じ気づいたように見えた。


「……あっ、あの! 実は」


 しかし、主人公はめげない。


 ――でもそれって、戦う時かそういった時の話なら分かるけど。


 こうした時の主人公の「めげない」はちょっとニュアンスが違う様に感じてしまう。


「コッ、コレを渡したくて!」


 そう言っておもむろに手渡しのは『クッキー』だった。


「……」


 ――やっぱり。


 ここで私は「主人公は私と同じ『転生者』だ」と確信を持った。なぜなら……。


 ――この世界でクッキーが作れる人は、いないもの。


 それは、兄であるアルカが「クッキーのレシピは門外不出」としているためである。


 ――それに、普通の貴族が料理どころかお菓子作りなんてしないもの。


「そっ、それじゃあ!」

「なっ、おい!」


 王子の手に渡った事を確認すると、主人公はそのまますぐに走り去ってしまい、その場にはクッキーを持ったままの王子が取り残された。


「コレをどうしろって言うんだ」


 あまりにとも突然の事で、王子は放心状態で小さく呟き、手渡されたクッキーをジッと見つめる。


 ――思わず敬語を忘れてしまうほどに……驚いたのね。


 先に言っておくけれど、私は決してこの一部始終を見ていたかったワケではない。


 そもそも、私はいつも誰よりも早く学校に着いて勉強をしていて、私の席が廊下に近いのも最初からである。


 ――でも、今のは「手渡すだけ手渡して逃げた」って事よね。


 しかも、手渡した相手はこの国の王子。


 ――焦っている……のかしら?


 確かに、他の攻略キャラクターたちは隠しルートのキャラクターも含めて攻略済みの様だが、ゲーテ王子の噂を耳にした事はない。


 ――でも。食べるのかしら?


 そこそこ親愛度が高ければ食べてくれるとは思うが、先程の王子の様子を見た限り、とても良好な関係には見えなかった。


 ――そもそも、王族に限らず貴族にだって『毒味』の係はいるし。


 この世界でも「毒殺」という心配は上位貴族ほどあり、カナリアの場合はディーンやリサが行っていた。


「……ん?」


 ――そういえば……確か、効率良く親愛度を上げるアイテムがあった様な?


「!」


 そこでふと私の脳裏に過ぎったのは『とあるアイテム』の存在だ。


 ――でも、ちょっと待って。あれを手に入れようと思ったら……かなりの金欠になっているはずなんだけど。


 しかし、彼女が転生者である事と攻略の効率の良さから「そのアイテムを使った可能性が高い」という結論に至った――。


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