第1話
あっという間に学校生活も半分以上が過ぎ、ありがたい事に大きなトラブルもなく、ごくごく普通に過ごせていた――。
――本当に授業に『魔法中心』でなければ、前世と全然変わらないなぁ。
そして「学校の成績によって将来が決まる」と言っても過言ではない……というところも前世と変わらない。
――でも、前世と全然違って今回はちゃんと勉強しているのよね。
そこに関しては自分でもかなり驚きなのだが、それは多分「悪役令嬢になるまい」という抗いと、純粋に「魔法の勉強が楽しい」という気持ちの差だとは思う。
――魔法は目に見えて結果が出るし。
前世の勉強でも勉強をすれば成果が出たと思うけれど、特に『魔法』に関しては練習や勉強をすれば「出来た!」という達成感がある。
それを見る度に、私は「もっと頑張ろう!」という気持ちになったのだ。
そして、おかげ様で教師たちの評価は上々で、クラスメイトたちにも一目を置かれる様になった様に……思う。
――じゃあ「仲良く」とは簡単にいかないのよね。
そこら辺はやはり「人による」ため、なかなか上手くいかない。
でも、たまに「授業で分からなかったところを教えて欲しい」と言われる事もあり、なかなか良好な関係を築けている気がしている。
ただ、たまに「ゲームのストーリーに無理矢理でも引き込まれるのでは?」と怖くなってしまう事もある。
それこそ『悪役令嬢』として、自分の意志とは関係なく主人公をイジメてしまうのではないか……と。
――でも、今はその兆候もないし。
多分、私自身が「出来る限り主人公と王子に会わないように」と心がけているからではないか……と思っている。
――いっ、一応。王子とはあのお茶会以降会っていないし。
しかし、ゲームの中での私の立ち位置は『王子の婚約者』なので、これまたどういった影響があるか分からない。
「あ!」
――ん? あれは……。
実は上位クラスと下位クラスは「階」が違い、移動教室や休み時間でなければなかなか会う事が出来ない様になっている。
だから、下位クラスの人が上位クラスの人に会おうと思うと「出待ち」をした方が効率良い。
――主人公?
ふと視線を廊下に向けると、そこにいたのは主人公の『エステル・リオナ』の姿。
「おはようございます。殿下!」
「……」
そして、朝のさわやかな空気と共に明るく元気な声で挨拶をする主人公に対し「殿下」と呼ばれたゲーテ王子は……主人公を見た瞬間。
「ああ、おはよう」
口では挨拶を返したモノの、その挨拶の裏側には「なんだ、お前か」と言い足そうなニュアンスが透けて見えた。




