第2話
そもそも真面目に『勉強』に取り組んでさえいれば、彼女の望んだ通りの結果になっていたはずだ。
でもそれは、ものすごく「当たり前」話なのだが……。
残念ながら彼女は「生まれた人となり」だけで「自分は選ばれた人間」だと判断してしまい、今に至っている。
「……」
しかし、実はもっと早くに「自分の間違いに気がつく」きっかけはたくさんあった。
ただ、このクラス分けで攻略キャラクターたちは「上位クラス」に振り分けられるところ、なぜか彼らは「下位クラス」に振り分けられてしまった。
その結果、彼女はここでもまた大きく『勘違い』をしてしまう事になる。
そして「それは自分が下位クラスに振り分けられたから、攻略キャラクターの彼らも一緒に同じクラスになった」のだと、更に思い込む結果に繋がってしまった。
しかし、彼らが「下位クラス」になったのは、どちらかと言うと『偶然』に近いモノで、本来ではありえない話だったのだが『結果』として、彼らはエステルと同じクラスになる。
――それにしても『悪役令嬢』って、あんなに地味だったっけ? イジメもしてこないし。
ふと彼女の脳裏に浮かんだのは『悪役令嬢』として、このゲームにいるはずの『カナリア・カーヴァンク』の事だった。
ゲームの中でのカナリアは、主人公であるエステルを何かにつけて言いがかりやイジメをしてくる『悪役令嬢』という立ち位置だったのだが……。
今、彼女が通っている魔法学校に同姓同名。なおかつ容姿が似ている女子生徒がいるのだが、その彼女はとてもではないが『悪役令嬢』とはほど遠い『成績優秀な模範学生』である。
――多分、あの子で間違いないと思うんだけど。
しかし、ゲームとは大きく違い。彼女は攻略キャラクターである『ゲーテ王子の婚約者』でもなかった。
いや、そもそも王子に婚約者はいない……という事になっている。
この時点で「何かがおかしい」と思うところなのだが、なぜか彼女は「婚約者がいないのなら、ラッキー!」くらいにしか思っておらず、気にも止めていなかった。
ちなみに、隠しルートのアンディ以外の攻略キャラクターたちが軒並み「下位クラス」になったのも、偏にゲーテ王子が「グレン」としてカナリアと交流していたためである。
要するに、本来であれば仲良くなるはずのゲーテ王子と他の攻略キャラクターたちが仲良くなる事はなく、その代わりにゲーテ王子はカナリアと仲良くなっていったのだ。
そして、カナリアと会う時は大抵「スイーツ巡り」か「勉強会」だったため、王子の実力はメキメキと上がり、きっかけすらなかった攻略キャラクターたちは軒並み「下位クラス」になってしまった……というワケだったのである。
当然カナリアはそこまでは知らず、エステルもその辺りの事は全く知らない。
それもそのはず、そもそもゲームでは「カナリアは王子の婚約者」という事しか書かれておらず「何がきっかけで」など詳しい説明は一切なかったのだ。
だからこそ「カナリアの行動によって未来は大きく変わった」のだが、その事に彼女は一切気がついていなかった――。




