表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第十一章 協力者と思わぬ人物との遭遇
PR
53/67

第3話


「カナリア様。一体何が……」


 あまりにも突然の事に、グレンは驚きつつも私に問いかける。


「静かに、誰か来る」

「え?」


 そう言う私に対し、グレンは不思議そうな顔をしていた。でも、この反応が「普通」だとは思う。


 ――いきなり腕を引っ張られて「静かに」なんて言われても……ね。


 しかし、ここで見つかるのも色々と都合が悪い。


 ――だって、こっちに向かっているの……。


「来た」

「え?」


 私たちが隠れてすぐに男女の楽しそうな会話が聞こえてきた。


「えー? そんな事。言ってないよぉ」

「ふふ、いやいや。君が言ったんだろ? こうした方が効率良いって」


 隠れている私たちに気づきもせずに、楽しげに笑顔で会話を続ける男女……。


「おや、あれはアンディさんですね。確か、現宰相のご子息の」

「ええ」


 ――それに、一緒にいるのは……。


 私の予想通り「主人公」だった。


「やっぱり」

「やっぱり?」

「え。ああ、ごめんなさい。何でもないわ」


 ――しまった。思わず声が漏れちゃってた。


 あまりにも「思った通り」だったので、つい声に出してしまっていた。


「そうですか」


 ただ、グレンはあまり気にしていない様だ。


 ――よっ、良かった。


 私は思わずホッと胸をなで下ろす。もし、聞かれていたらどう説明すればいいか困っていたところだろう。


「しかし、二人はなぜこんなところに来たのでしょう?」

「うーん」


 ただ、どうやらそんな事よりも、こちらの方が気になったのだろう。しかし、グレンの質問に、私は思わず首をかしげる。


 ――でも、言われてみると……確かに不思議なのよね。


 確か、ゲームの中にこういったシーンはあったモノの、基本的にイベントが起きるのは『親愛度』によって変わるため、明確なタイミングがない。

 もし、タイミングがあるとすれば、それは「バレンタイン」などの季節が関係している場合である。


 ――それでも、こういったイベントが起きるにはちょっと早すぎる様な気が……。


 思い返してみると、こうした『放課後のイベント』はもう少し後半の……それこそ卒業間近のタイミングだったはずだ。


 ――でも、今はまだ一年の半分過ぎたくらいなんだけど。


 しかし、今までの主人公の行動を見た限り。相当効率良く『親愛度』を上げていた印象が強かったのも事実だ。


 ――それにしても、まさか隠しルートのキャラクターまで仲良くなっていたなんて。


 ただ、ここで疑問だったのは「なぜ、殿下と仲を深めていないにも関わらず、隠しルートの彼と仲良くなれているのか」という点だった。


「……」


 しかも、私が見た限り二人の仲は相当良さそうだ。


 ――つまり、王子の攻略は既に完了している……って事なのかしら?


 彼『アンディ・ブライト』と仲良くなるためには、そもそも「彼と接点」を持たなければならない。

 しかし、彼と「接点」を持つためには殿下とそこそこ仲良くなっていないといけないはずなのだが……。


 ――だって、彼は王子から紹介してもらわないといけないもの。


 そうなると「王子の攻略」は絶対条件のはずだ。


 ――うーん。でも、そんな話になれば、それこそ学校中が大騒ぎになりそうなんだけれど。


 それでなくても、今の主人公の評判はとてもつもなく悪い。


 ――ただ何はともあれ。


「彼女たちがどうしてここに来たのかは分からないけど、相当仲が良さそうね」

「そうですね」


 ――あ! ひょっとして。


 そこで私はふと「彼女がかなり殿下にご執心だった」と主人公の姿を見た時の態度で思い出した。


 ――もしかしたら、王子を追いかけている内に仲良くなったのかも知れないわね。


 それならば、話の筋は通る。


 なぜなら、あの時の王子はあまり主人公にあまり良い印象を受けている感じはしていなかったからだ。

 それを踏まえて考えると……王子は主人公から逃げていて、それを彼が対応している内に仲良くなったのかも知れない……という可能性はあった。


 ――あくまで推察でしかないけれど。


 そもそも、彼は将来的に父親の後をついで宰相になる予定の人物で、今はゲーテ王子の側近として基本的に一緒に行動を共にしている。


 ――だから、本来であれば。男爵令嬢の彼女が話しかける事すら出来ない存在の方なんだけれど。


 しかし、主人公が私と同じ『転生者』ならば、ちょっとでも「接点」さえあれば……攻略の方法は分かるのだろう。


 ――そう考えれば、たとえ王子と仲良くなくても、彼と仲良くなる事は出来るわね。ただ、本来とは全然違うからかなり違和感はあるだろうけど。


 その「違和感」は、決してゲーム通りとは言えない現状に対してである。


「……」

「……」


 そんな二人を物陰で観察している内に、二人は近くにあったベンチに腰を下ろした。


「あの、ところで僕たちはいつまでこのままなのでしょうか」


 グレンは「盗み聞きしている」という今の状況に対し「申し訳ない」と感じたのか、ふいに尋ねてきた。


「……とりあえず、二人が立ち去るまでね」


 私も、正直「良い事をしている」とは思っていないので、どこかのタイミングで離れたいとは思っていた。


 ――それに、二人の仲が良いって事は分かったし。


 しかし、まさか見られているとは思っていない二人は私たちに気にせず楽しげに話を続けている。


「――それで、今度は二人で……」


 そんな時、だんだんと「二人の距離が近づいている」と思っているのも束の間。二人はそのまま……。


「!」

「!」


 私たちが見ている事に全く気がついていないのか、そのままキスをした――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ