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生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第九章 かわいい友人の秘密
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第4話


「グレン」


 結局のところ。彼とはなんだかんだ幼少期からの付き合いになっていた。


 ――学校に入学した後もたまに会う事はあったけれど。


 こうして顔を合わせて話すのはかなり久しぶりだ。


「……」

「どうかされましたか?」


 私が何気なくジーッと見上げている視線が気になったのだろう。グレンは不思議そうに尋ねる。


「いえ? なんでもないわ」

「そうですか」


 そう言っていつもの穏やかな表情を見せる。


「……」


 ――いつも思うけれど、グレンって決して邪険に言う事はないのよね。


 最初に会ってから今までを思い返してみても、グレンが私に対してそう言った態度で私と接した事はない。

 いつも穏やかな笑顔で笑っている。

 その落ち着きのある態度が成熟した大人の様に見えて、私はたまにまだまだ子供な自分を恥ずかしく思う事もあった。


 ――まぁ、それはそれとして……。


 そう思いつつグレンを見上げる様に顔を上げると……。


「?」

「あなたまた背が高くなったんじゃない?」


 そう言うと、グレンは珍しくキョトンとした表情になったが、すぐに「そうですか?」とまた穏やかな笑顔で答える。


「ええ、少なくとも私が最後に会った時よりも」


 私がそう言うと、グレンは珍しく「それは……良かったです」と、どことなく嬉しそうな表情を見せた。


「それより、勉強会をするのでしたよね」

「え、ええ。もしかして、一緒に勉強したいの?」


 そう尋ねると、グレンは「はい」と答える。


「カナリア様に教えてもらえる様ですので」


 グレンがそう言うと、アーリアは「うんうん」と隣で大きく首を縦に振って同意する。


「そっ、そんなに?」

「はい」


「でっ、でも。あなたは上位クラスにいるでしょう? 私が教える事なんて何もないと思うけれど……」


 そう答えると、グレンは「いいえ」と首を左右に大きく振ってコレを否定する。


「先日の小テストで満点を取られたのはカナリア様だけです。それを踏まえて考えただけでもとても素晴らしい事です」

「そっ、そうなの?」

「はい。少なからず魔法を勉強するために学校に通っているのですから」

「そっ、それは……そうね」


 確かにグレンの言う通りである。


 ――ただなぁ。


 しかし、どうしても私の頭の中には「ここってゲームの世界なんだよなぁ」という事が過ぎってしまう。


 ――いや、確かに「学生の本分が勉強」って事はよぉく分かっているのよ?


 ただ、それが本当に「大事なのかな」と思ってしまうのは……。


「えー? 本当にぃ?」

「ははは、そうなんだよ。こいつがさぁ」

「なんだよ。別にいいだろ!」

「二人とも、あまり騒ぐな。うるさい」


 ふと廊下の端から聞こえてきた大きな話し声と共に、話をしている私たちの横を堂々と通り過ぎったのは、主人公と攻略キャラクターたちだ。


「……」


 彼らの姿を見ていると……どうにも「ゲームの世界」という事実に引き戻されてしまう。


 ――でも、ゲーテ王子の姿はないのよね。


 そこが私の知っているゲームとの大きな違いである。


「いつもあの人たちは一緒ね」

「ええ、とても仲が良いみたい」


 アーリアの言葉を受け、私もそれに頷くと……。


「仲が良い……ですか」


 なぜかグレンはあまり良い顔をしていない。


「? どうかしたの?」

「いっ、いえ。何でもありません。ところで、昼休みですよね?」

「え?」

「勉強会ですよ」

「えっ、ええ。そのつもりだけど」


「では、是非参加させて頂きます」

「私も!」


 二人がそう答えたところで、ちょうど始業を告げるチャイムが鳴り響いた。


「分かったわ」


 私がそう答えると、二人は満足したようにそれぞれの教室に戻った……のだが。


 ――ん? そういえば……。


「あの二人」


 ――面識なんて、あったかしら?


 そんな疑問が頭を過ぎったのは、二人が教室に戻ったのを確認して私が自分の席についた時だった。


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