第2話
「次の授業って何かしら?」
「あ、魔法の歴史ですね」
「次は……実践ですね」
「ありがとう。分かったわ」
生徒たちは授業を終え、お昼休みに入る前に次の授業の話をする……。
――口調の差に身分の差を感じる辺り、貴族社会のこの世界らしさを感じるわね。
「……」
それにしても、こんな前世でもよく見た様な光景をまさか魔法学校でまた見る事になるとは思いもしなかった。
――それに、あんな感じのやり取りを見ていると、本当に授業の内容が『魔法』ってだけで、実は前世とあまり変わっていないのよね。
しかし、コレは正直なところ、やはり不思議な感覚ではある。
「はぁ」
ただ、何はともあれ魔法学校に入学して早一週間が過ぎようとしているのだが、私はありがたい事に主人公とは違うクラスになった。
――ゲームでも違うクラスにはなったけれど……あちらは下位のクラスなのよね。
しかし、今の私は上位のクラスで、なおかつ上位のクラスの中でもさらに成績のいい人たちが集まっているクラスらしい。
――でも、このクラスに攻略キャラクターたちはいない。
つまり、彼らはこのクラスに入れるほどの成績ではなかった……という事になる。
「……」
――それって……うーん。ちょっとおかしな話の様な気もするけれど。
何となく、私としてはこういった「乙女ゲーム」に分類されるモノの攻略キャラクターは「文武両道」というイメージが強い。
それこそ「弱点がなくてむかつく」とか「こんな人いないわよ!」と言いたくなるほどである。
ただ思い返してみると、確かに「成績上位のクラスになった」という書き方はされていたけれど、それが「トップクラス」といった事は書かれていなかった様に思う。
――まぁ、それでも成績上位のクラスのいる事は事実……だっけ?
ふと私の脳裏に「あれ、上位のクラスに名前……あったっけ?」という疑問が過ぎった。
――うーん。
思い返してみると、実のところ。攻略キャラクターのクラスまでは探していなかった。
――入学式まで時間がなかったし。
それに、私自身。関わるつもりもなかったため、そこまで気にしていなかった。
――それにしても……。
今年の入学生の代表挨拶は「成績最上位者」ではなく「ゲーテ王子」だった。
――これは多分、王族に配慮しての事でしょうね。
多分、たとえ王子の成績が振るわなかったとしても、代表挨拶は王子になっていたのではないだろうか……そう思えてならない。
「……」
思い返してみると、あの入学式の案内には「上位クラス」とは書いてあったモノの、順位までは書かれていなかった。
――だから多分、王子が代表挨拶をする事は最初から決まっていたのでしょうね。
しかし、それに対する詳しい説明などはされていないし、コレはあくまで私の憶測でしかないのもまた事実だ。
――聞くつもりもないけど。それにしても、コレは……私、クラスで確実に孤立しているわね。
周りをキョロキョロと見渡しても、私に話しかけようとする人は誰もいない。要するに当初の懸念通り私はクラスの中で孤立していた。
――まぁ、最初から分かりきってはいた事だけどね。
それでもやはり一人というのは寂しい……なんて思いながら廊下へと出ると――。
「ん?」
「えぇ、本当ですかぁ?」
何とも耳に入りやすい高い女性の声が廊下に響き渡り、私は思わず顔を上げる。
「はは、そうなんだよ」
「そうだ! エステルも今度一緒に行こう」
声の主と思しき肩に掛かるくらいのゆるいウェーブがかった茶色の女性についているのは三人の男性。
「……」
ふと顔を上げて広がっていた景色を目の前に、私はピクピクと眉をひそめて頭を抱えたい気持ちになった。




