第1話
「はぁ」
そうしてあっという間に魔法学校に入学したのだが……。
「おや、随分と深いため息ですね」
「まぁ……私だってため息をつきたくなる事だってあるわよ」
なんて言いつつそっぽを向く私は絶賛ふて腐れ中である。
「それほどショックだったのですか? グレン様が上位は上位でも別のクラスだった事に」
「……」
まぁ、これまでの私の言動を見ていれば、ディーンでも「ふて腐れている原因」は分かるのだろう。
――でも、簡単に当てられると……なんか悔しい。
しかし、事実なのだから仕方がない。
「はぁ、なんで複数のクラスだって事を忘れていたんだろ」
「それは多分『上位』と『下位』という言い方をしていた為だと思いますよ?」
それは確かにそうかも知れない。
この言い方をしていたが為に私は「二つに分かれるのだろう」と勝手に解釈してしまったのだから。
――でも、考えてみたらこの世界って結構貴族が多いのよね。
それを考えたら、確かに二つに分けてしまったら色々と大変だろう。
「しかし、移動教室などが絡んでしまうと……なかなか厳しいかも知れませんね」
「ええ。でも、あんまりグレンの行動を縛るわけにはいかないし」
――それに、グレンにだって私以外の友達はいるだろうし。
なんて事を思うと……少し寂しくなってしまう。
でも、私にはグレン以外に同じ年くらいの友人はいない。そうなると、一から友人を作らないといけない。
「そこまで深刻に考えずともお嬢様であればすぐに出来ると思いますが……」
「どうかしら?」
そう私はすぐにディーンの言葉に疑問を呈すと、ディーンは「――と、言いますと?」と不思議そうに首をかしげる。
ディーンの言う通り「公爵令嬢」である私とお近づきになりたいという輩は多いだろう。だから、一見すると心配する必要はなさそうに見えるのだが……。
「正直、そういった時に出来る友達こそ、私を悪役令嬢に仕立てる存在じゃないのかって思ってね」
そう言うと、ディーンは「ああ、なるほど」と頷く。
「確かに、その可能性は否定出来ませんね」
――現に今の私はゲームのカナリアとは違う立場だし。
それこそ、ストーリーを進める為に無理矢理にでもその軌道修正をしようとする可能性は否定出来ない。
「しかし、それならばもっと強引に……それこそ無理矢理にでも『王子の婚約者』にお嬢様をさせようとしませんか?」
「まぁ、それは私も考えたわ」
しかし、私の懸念は当たる事なく今に至っている。
――と言う事は……。
「もしかしたら『王子の婚約者』という事はあまり問題ではないのかも知れませんね」
「……」
ディーンがそう言うと……。
「なんですか、その顔は」
「いいえ。なんでもないわ」
正直、私としては「それは困る!」と言いたいところだが、実際のところ。今の状況ではその可能性が比較的高そうだ。
――現に私も今そう思ったし。
「でも、そうなると……やっぱり私は『悪役令嬢』になる運命なのかしら……」
それを考えると、やはり怖い。
――自分の意思に反して行動してしまうかも知れないし。やってもいない事をやったと言われてしまうかも知れない。
「……大丈夫ですよ」
「え」
「お嬢様がご自分で言っていたではありませんか。そもそも関わらなければ良いと」
「! そっか! そうよね」
ディーンの言葉を聞いて私は「そうだ!」と思ったけれど、それが「ディーンに言われて」という事が少し引っかかった。




