第4話
――なっ、なんでこんなに興味津々なんだろう?
確かに「せっかく外に出るのだから」とグレンと会う前に本屋と図書館を行き来した。理由はもちろん魔法に関する本の読み漁りである。
「本……ですか」
「えと。はい」
――まっ、まぁ。貴族は本よりもゴシップが好きらしいし。
ひょっとしたら、それで「珍しい令嬢」と思われたのかも知れない。しかも、私は公爵令嬢でもある。
――うん! それなら納得!
「ひょっとして、魔法学校に行かれる予定なのですか?」
「え」
なんて思っていたのも束の間、突然グレンにそう言われ、私は思わず固まりそうになった。
「ええ、そう出来たらいいな……と勉強に励んでいます」
そう言いながらお茶を飲む。
――なっ、なんで「本を探しに行った」からその話になるのかしら。
なんて疑問が過ぎったけれど、残念ながら私の疑問に答えてくれるような同い年の友達はいない。
――でも、本なら魔法関連だけじゃなくても色々あるはずなのに。
「つまり、魔法の適性があるというワケですね?」
「ええ」
そんな事を考えている暇もなく、グレンはグイグイと質問してくる。
「なるほど、すごいですね」
「え?」
素直に賞賛するグレンに、私はキョトンとした顔で答える。
――そっ、そんなに驚かれる程の事なのかな?
私としては「魔法の勉強が面白いから」と勉強や鍛錬をしているだけであって、グレンだけでなくディーンに驚かれる程の事をしているつもりはなかった。
「それで、あなたの魔法適性は何でしょう?」
「え……と」
グレンに尋ねられたところで、私は思わず固まった。
「……」
なぜなら、基本的に魔法を使える人は自分の魔法属性を答えないからだ。
――いや、一言で「魔法属性」と言っても……あくまで自分の得意不得意を分けた様なモノなのだけど。
それでもあまり自分の弱点を明かしたくはないモノだ。
――しかも、私の属性は『氷』だしね。魔法学校に入学した時には一応、表向きは『水』や『風』という事にされるんだけど……。
それは父の意向である。
基本的にこういった事に関して口出しをしない父がそういう事を言うという事は、それほど稀少だという事なのだろう。
――まぁ、ゲーム上のカナリアは自慢していたけれど。
しかし、私は基本的に面倒事を避けたい人間なので、そういった目立つ様な事はしたくない。
「ふふ、そうですか。言えませんか」
「ごっ、ごめんなさい」
――まぁ、魔法学校に入ってしまえば嫌でも分かる事だし。
「いえ、すみません。僕の方が不躾だっただけですので」
「そんな事は……って、そういう話をするという事は、あなたも魔法学校に?」
内心「今更だけど」と思いつつそう聞くと、グレンは「出来れば」と照れくさそうに答える。
「そうだったんですね。あ、じゃあもし良かったら……」
そこで私は「良い事を思いついた!」と両手をポンと叩く。
「今度は私の家にご招待致します」
「え?」
「一緒に勉強しましょう!」
「……いいですね。よろしくお願いします」
グレンは面食らっていたけれど、すぐにいつもの笑顔に戻り、そう言って笑ってくれたのだった――。




