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生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第六章 少年からのお誘いとお話
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第3話


「いらっしゃいませ!」

「待ち合わせをしているのですが……」


 お店のドアをディーンに開けてもらい店内に入ると、笑顔で出迎えた店員にディーンが話しかける。


「待ち合わせですね。こちらへどうぞ」


 店員に言われるがままついて行くと、そこにはグレン・アシュタルトがお店の一角に座って待っていた。


「おっ、お待たせしました」

「いえ、僕の方が早く着いてしまっただけですので」


 私の姿に気がついたグレンはティーカップを置きながら穏やかな笑顔で出迎える。


 ――ここで「かっこいい」より先に「かわいい」が来るのは多分……彼がまだ子供だからでしょうね。


 もちろん私も子供ではあるのだけど。


 ――それにしても。


「……」


 なんて事を考えながら、私はチラッと「ある人物」の方へと視線を向けた。


「ああ、こちらは僕の執事の『リュア』です」


 私の視線に気がついたグレンは隣にいる男性を紹介し、その男性は無言で小さくペコリとお辞儀をした。


「はっ、初めまして。あ、こちらは私の執事の『ディーン』です」

「グレン様、初めまして」


 そして、こちらもグレンにならってディーンを紹介し、ディーンもお辞儀をする。


「……」


 ――あれ、この人……。


 グレンから『リュア』と紹介された使用人の声を聞いてはいない。今の自己紹介でも無言でお辞儀をしただけだ。しかし、この人を見ると……。


 ――どこかで見た事がある……様な?


 しかし、その男性は短く人目を引くであろう特徴的な白っぽい髪は、すぐに見ればすぐ分かる上に、記憶に残りやすいはずだ。


「どうかされましたか?」


 そんな私に、グレンは心配そうに声をかける。


「え、ああ。いえ」


 ――本当によく気がつく子ね。


 これほど気を遣える人は大人でも珍しいのではないだろうか。


「そうですか、それではどれに致しますか?」

「え」


 突然そう切り出されて思わず面食らっていると、グレンはメニューを開いて「僕のオススメは『ガトーショコラ』なのですが」と指す。


「あ、美味しそうですね!」


 メニューを覗き込むと、そこにはケーキの紹介と共にイラストが描かれている。


「他にも『ショートケーキ』というモノも美味しいらしいです」


 そう言うグレンは自分の事の様に笑う。そんなグレンを見ていると、こちらまで笑顔になる。


「そうですね、それじゃあ――」


 そして私はグレンからオススメされたケーキを注文する事にした。


◆  ◆   ◆   ◆   ◆


「うわぁ!」


 運ばれてきたケーキを前に、私は目を輝かせて見ていると……グレンはニコニコと笑っている事に気がついた。


「あっ、あの。なっ、何か」

「いえ、楽しそうだなと思いまして」

「そっ、そんなに顔に出ていましたか?」


 私は思わず顔を触る。


「ええ、とても」


 そうして笑うグレンに対し、私は思わず顔を伏せる。それこそ、自分でも顔が赤くなっているのが分かってしまうほどだ。


「気を悪くさせてしまったのであれば申し訳ありません」

「いっ、いえ!」


 申し訳なさそうに言うグレンに対し、私は顔を上げて謝りながら気を取り直して早速ケーキの一つに手を伸ばして口に運ぶ。


「うーん!」


 ――この世界のケーキは少し甘さが控えめなのよね。


 甘い物は好きだが、実は甘すぎるのはあまり好きではない。でも、この世界のケーキは甘さが控えめだからペロリと食べられる。


「あの、ところで……」

「はい?」


 グレンの問いかけに反応すると、グレンはティーカップを置きながらチラッとこちらを見る。


「ここに来る前にどこか行かれたのですか」

「え?」


 ――なんでこんな事を言うのだろう?


 なんて思っていたけれど、グレン曰く「せっかくお天気が良いので、ひょっとしたらと思いまして」という事らしい。


 ――ああ、別に詮索とかじゃないのね。


 ただの興味本位だと分かり、内心ホッとしつつ「え……と、すこし本を探しに……」と答える。


 すると……。


 グレンは「良い物を見つけられましたか?」となぜかさらに興味を持たれ、私は思わず「え」と面食らったのだった――。


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