表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の守護者 〜地上に降り立った最強の龍皇女は、神具に選ばれた少女を守り抜く〜  作者: 森人
第一章 王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/77

第049話:招かざる関心

ヴァンたちとの面会を終えた一行がギルド本部へ戻る頃には、夜はすっかり更けていた。


静まり返った館内で、ただ一人――ガストン本部長だけが執務室に明かりを灯し、彼らを待っていた。

その顔には、隠しきれない疲労の影が色濃く刻まれている。


「……ご苦労だったな」


重々しい口調で労うガストンに対し、リーダーのガイ――ラルスが、救護施設付近での戦闘状況を簡潔に報告した。


「忽然と消えた、か……」


ガストンが低く呟く。

ステラほどの手練れでさえ魔力の痕跡で追えない存在。それがこの世界の常識から外れた“異質な者たち”であることは、もはや疑いようがなかった。


「やはり、彼らの狙いはリィンだったわ」


ステラが静かに告げる。


当初、敵は巨人兵という圧倒的戦力で、ステラたちを排除できると踏んでいたのだろう。

だが予想外の反撃により巨人兵は損壊し、王都へと運び込まれる事態となった。


計画を狂わされた襲撃者たちは、遺物の回収と同時に、精鋭による直接排除へと方針を切り替えた――。


リィンたちを誘き寄せての、上下前後を封じる挟撃。

さらに気配を完全に遮断した死角からの同時襲撃。


ステラの知覚がなければ、リィンの命は今頃どうなっていたか分からない。


「これ以上王都に留まれば、街を戦火に巻き込みかねないわ。一刻も早く祭壇へ向かい、残る『七星の神具』を集めるべきよ。それが、事態を収束させる唯一の道だわ」


ステラの提案は合理的であり、現状で考え得る最善策だった。


だが――


それを聞いたガストンは、苦渋に満ちた表情で視線を机へ落とす。


「……うむ。理屈はその通りだ。だが、少々……面倒なことになってな」


言葉を選ぶように、ゆっくりと口を開く。


「カミーユが独断で、お前たちのことを陛下へ報告したらしい。それだけならまだよかったのだが……その話を聞いた第二王女殿下が、お前たちに強い関心を示されてな」


「あのお方が?」


ガイが思わず声を上げた。

王都ルアスにおいて、第二王女の名を知らぬ者はいない。

才気煥発にして、ひとたび言い出したら決して引かぬ苛烈さで知られる人物だ。


「そうだ。アイリス殿下が、その“祭壇への旅”に自ら同行すると言って聞かんらしい」


カミーユの功名心が、最悪の形で火種となったのだ。


「……それは遠慮したいわね。明らかに“守る対象”が増えるだけでしょう?」


あまりにも率直なステラの物言いに、セレンが思わず吹き出した。

バッカスも肩を揺らし、ガストンは頭を抱える。

その隙に、ステラはラルスへ念話を飛ばした。


【ラルス。その第二王女殿下、どんな人物?】


【名はアイリス・ルアス・アズール。幼少より騎士団に混ざって鍛錬を積み、剣技・魔導ともに王国屈指の才を誇ります。真紅の長髪と苛烈な戦いぶりから、『紅蓮の戦姫』の異名で知られる御方です】


【……面倒そうね】


純粋な護衛任務だったはずの旅に、王族が加わる。

それは単なる危険度の上昇にとどまらない。


「このまま何も聞かなかったことにして、今夜のうちに出発する、というのは?」


ステラが半ば本気で提案する。


だが、ガストンは力なく首を振った。


「……残念だが、それは不可能だ。すでに正式な命令が来ている」


そう言って机に置いたのは、王宮の紋章が刻まれた書状だった。

そこには、明日二人が王城へ参内するよう記されている。

ステラは、深く、長いため息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ