表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の守護者 〜地上に降り立った最強の龍皇女は、神具に選ばれた少女を守り抜く〜  作者: 森人
第一章 王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/79

第047話:残光の狙撃

日が大きく傾き、王都の街並みが燃えるような夕焼けに染まる頃。

ステラとリィンは、ヴァンたちが収容されている救護施設へと向かっていた。


表向きの目的は「被害者との面会と事情聴取」。

しかし、その実態は敵を誘い出すための大胆な撒き餌である。


人通りがまばらになり、建物の影が長く伸びる路地へ差し掛かった、その時――

空気の質が、一変した。


「……来たわね」


ステラが小さく呟いた瞬間。

正面と背後の屋上から、音もなく黒い影が現れる。


彼らは一切の警告も名乗りもなく、手に握った奇妙な筒状の機工道具をステラたちへ向けた。


直後――

空気を切り裂く高周波音と共に、数条の「熱線」が放たれる。


それは魔法特有の予備動作も、魔力の残滓も伴わない。

純粋な物理エネルギーによる投射。常人であれば認識する間もなく肉体を貫かれていたであろう、超高速の一撃だ。


「リィン、私の後ろへ」


ステラは一歩踏み出し、目にも止まらぬ速さでくうを払った。


――パキィン!


硬質な音と共に光の帯が四散する。

ステラは魔法障壁すら使わず、掌に圧縮した魔力を纏わせ、熱線そのものを叩き落としていた。


(魔力反応は……皆無)


暗がりの向こうで、黒い影たちの動揺がわずかに揺らぐ。


だが次の瞬間、背後から殺気。


振り返ったステラの視界に、すでに間合いへ踏み込んだ男の剣が映った。


亜空間から細剣を引き抜き、リィンの喉元を狙う刃を弾き飛ばす。

そのまま袈裟斬りで反撃するが――


(硬い……!)


男の身に纏う特殊装甲が、斬撃を受け止めていた。


「えいっ!」


リィンもまた宝剣『メルクリウス』を顕現させ、横一文字に薙ぎ払う。


蒼き刀身から紫電が迸り、男の身体を撃ち抜く。

雷撃に焼かれた男は低く呻き、陽炎のように揺らぎ――そのまま消失した。


同時に、周囲でも戦闘が激化していた。


屋上ではセレンの矢が空を裂き、ゴードンの大剣が影を叩き潰す。

前方ではルルの風刃が路地を削り、ガイの斧が猛然と襲いかかる。


だが――


追い詰められたはずの黒衣の男たちは、示し合わせたかのように一斉に姿を消した。



一瞬の静寂。


『黄金の牙』の面々がステラたちの元へ集まる。


「大丈夫? 怪我はない?」


ルルがリィンに駆け寄る。

しかしその視線は、彼女の手にある宝剣に釘付けになった。


ゴードンもまた、吸い寄せられるようにその剣を見つめる。


「……おい、それは……」


堪えきれず、ゴードンが口を開いた。


「す、少し、見せてくれないか」


「えっ、はい……」


リィンが差し出した剣を受け取った、その瞬間――


「――っ!? ぐ、あああッ!」


ゴードンの腕が、地面へと引きずり込まれる。


演技ではない。

まるで見えない重力に押し潰されるかのような挙動だった。


「な、なんだこの重さは……!?」


両手で支え、全身の筋肉を総動員してようやく耐える。


「片手で持てる代物じゃねえぞ……!」


「そ、そうですか……?」


リィンは首を傾げながら剣を受け取ると、軽々と片手で持ち上げる。


そのまま自然な動作で収納魔法を発動し、『メルクリウス』を亜空間へ収めた。


ゴードンは絶句する。


「お前……とんでもねえな……」


「収納魔法……」


ルルの声にも驚愕が滲む。

この重量物を難なく扱う魔力量と制御力は、銀ランクの域を明らかに超えていた。


戸惑うリィンの隣で、ステラは静かに微笑み、ガイへ視線を向ける。


「とりあえず、邪魔者は排除できたようね。予定通り、ヴァンさんの見舞いへ向かいましょう」


ガイは一度咳払いをし、場の空気を引き締める。


「……ああ。このまま全員で行く。これ以上、奴らに好き勝手はさせねえ」


一行は再び歩き出す。


だが――

『黄金の牙』の面々がリィンへ向ける視線は、先ほどまでとは明らかに変わっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ