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第018話:情報収集

夕闇がオニキスの街を包み込む頃、二人は馴染みの宿へと戻った。

新調した防具を脱ぎ、一息ついたところで、ステラは昼からずっと気になっていたことを切り出した。


「リィン、その……『メルクリウス』を、私にも持たせてくれないかしら?」


「ええ、もちろんです」


リィンが空間に手をかざすと、波紋のような碧光とともに大剣が姿を現す。

それを受け取った瞬間、ステラの腕に凄まじい衝撃が走った。


「……っ!?」


バッカスが両手で持つのに苦労していたのを見て覚悟はしていたが、実際に手に取ると想像を絶していた。

人型に擬態しているとはいえ、ステラは強靭な天龍の肉体を持つ。その彼女ですら、踏ん張らなければ振りかぶることすらままならないほどの超重量。


(信じられない……。単なる物質的な重さじゃない。これは、星の引力そのものを纏っているかのようだわ)


一方のリィンは、返された剣を羽のように軽く受け取り、不思議そうに小首をかしげている。


「そんなに重いですか……? 私にはしっくり馴染むというか、むしろ体の一部みたいに軽いんです」


ステラは驚愕を隠せなかった。

リィンにこの重量を相殺する「異常な身体能力」が備わったのか、あるいは「神具の所有権」による質量軽減なのか。


(私一人では判断がつかないわね。今度、お父様に会った時に聞いてみましょう……)


ステラは、かつてリィンを「希望」と呼んだ父――天龍王の意図を、改めて肌で感じていた。


「さて、リィン。これからのことだけど」


ステラはテーブルに羊皮紙の地図を広げ、真剣な表情で語りかけた。


「まずは、私たちの現在地を確認しておきましょう。今私たちがいるのは、ここ――『アズール王国』の北端にあるオニキスの街よ」


地図の中央、森と山地に囲まれた大きな都市を指差す。


「ここが王都『ルアス』。アズールの心臓部であり、交通の要所よ。西には商業が盛んな都市連合『リヴィエラ』、北には万年雪に閉ざされた地『ノースガルド』。そして南の険しい山脈を越えた先には、強大な軍事力を誇る『バルカ帝国』が広がっているわ」


ステラはこれまでに収集した知識をもとに解説する。

リィンは食い入るように地図を見つめた。これまでオニキス周辺しか知らなかった彼女にとって、世界はあまりにも広大だった。


「北の廃城のような祭壇が他にどこにあるのか、そしてリィンが言っていた神具についての伝承がないか……調べる必要があるわね。明日はギルドで情報を集めましょう」


――翌朝。


銀のプレートを胸に、二人は再びギルドの門をくぐった。


「あら、リィンちゃんたち! 早いわね」


受付のアニスが笑顔で迎える。

リィンは迷いなく本題を切り出した。


「アニスさん。北の廃城と同じような、古い紋章や祭壇の記述がある場所を調べたいんです。各地の古い伝承が載っている資料はありますか?」


アニスは少し困ったように眉を下げ、人差し指を顎に当てた。


「うーん……。オニキスのギルドにあるのは、この周辺の魔物被害や依頼の記録が中心なのよね。歴史的な資料なら、王都ルアスのギルド本部に行った方が確実よ。あそこには世界中の遺跡調査報告が集まっているから」


「王都ルアスの、ギルド本部……」


「ええ。銀ランクになったお二人なら、本部の地下書庫への立ち入りも許可されるはずだわ」


リィンとステラは顔を見合わせた。


「決まりね、リィン。まずはこの国の中枢――王都ルアスを目指しましょう」


二人はアニスに礼を言うと、旅の支度を整えるべくギルドを後にした。

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