クローラルなんでも事務所VSカテゴリーIX
―――篝が到着する数分前―――
大量に出現したブラックリンカーたちを破壊しながら、リブラが収納されているであろうジュラルミンケースへと進むステラたち。
「どいて!」
ノリアの戦槌が地面を叩き、衝撃波が伝播する事で前方広範囲にいるブラックリンカー群を吹っ飛ばす。
そこへクルエの鎖が横に薙ぎ払われ、宙に浮いたブラックリンカーたちを追撃する。そうして開けた所を進もうとしたが、目の前を突如として現れた土壁によって阻まれる。
「くっ」
『任せろ!』
その壁を、ゲニウスが粉砕する。その重量と装甲を以て質量兵器と化したその突進の前に、その土壁は砂のように崩れ去る。
だが、壁を突破して一機飛び出たゲニウスを、大量のブラックリンカーが襲い掛かる。
だが、そのブラックリンカーたちが突如として空中で吹っ飛ぶ。
『うお!?』
「流石、ステラ先輩のコードスキル・・・!」
「ぼさっとするな!」
関心するユウゴとノリアにそう怒鳴るクルエ。その右手には凄まじい勢いで振り回す鎖があり、それによって勢いをつけた鎖を、ジュラルミンケースに向かって勢いよく投げる。
立ちはだかる無数のブラックリンカーたちの合間を縫って、鎖の先についた楔が一気に迫る。だが、その最中に剣を持った騎士のブラックリンカーがジュラルミンケースへの攻撃を阻止する。
「くっ、やはり防がれるか」
「間違いなく、あのケース守るように動いてるね」
襲い掛かるブラックリンカーを対処しながら、ステラはそう呟く。
「それに―――」
「きゃあ!?」
突然、ノリアが悲鳴を上げる。そちらに視線を向ければ、倒れている人型のブラックリンカーが、その手でノリアを掴んでいた。それだけに留まらず、もう一体がノリアのハンマーを掴んでしまい。
「この、いい加減に、しなさい!」
ノリアが、その体から直接衝撃波を放った。
それをまともに受けて、まともに立っていられることなどある事はない。筈なのだが。
「・・・・え!?」
何故かその二体にはノリアの衝撃波を受けてもぴんぴんしていた。
「どうして・・・!?」
動揺するノリアに向かって、小柄な小鬼のようなブラックリンカーが小刀をもって襲い掛かる。
だが、その小鬼はクルエによって蹴り飛ばされ、ゲニウスによって踏み潰された。
『クソっ、普通に連携してきやがるっ!』
「ブラックリンカーが連携・・・どういう事だ・・・!?」
「そんなこと、考えてる、暇ないでしょ!」
連携してくるブラックリンカー。それに驚きを隠せないユウゴとクルエだが、ノリアに群がるブラックリンカーを蹴散らしながら、ステラはその思考を放棄させようとする。
「あっちが連携してくる。それだけ分かればいいよ。余計な事はあとで考える」
ステラはジュラルミンケースを見る。
「これ以上時間はかけられない・・・先生、三人をお願い」
「それはいいが・・・」
ロロの隠れているオフロード車には、他のブラックリンカーが近付けないように、クルエが鎖の結界を作り、近付けないようにしていた。
「まさか、一人で・・・」
「大丈夫、私の速さは知ってるでしょ?」
ステラは不敵な笑みでもってクルエに応える。
「信じて」
その言葉と共に、ステラはコードスキルを解放する。
「『制空機動』」
ステラのコードスキルは『風』。風に関するあらゆる事がなんでも出来る。
突風を起こし、空気を圧縮し、もしくは風を刃にしたりとなんでもござれ。
無論、風を操り、自らの体を浮かせて移動させることも出来る。
圧縮から解放、それによって起こる突風によって、ステラは初速から弾丸の如き勢いで飛び出す。
そこから稲妻のような機動でブラックリンカーたちの間を掻い潜り、一気にジュラルミンケースの所まで辿り着く。
そこへ、先ほどクルエの鎖を防いだ騎士型のブラックリンカーが高速移動するステラに合わせて剣を振り下ろす。だが、ステラは減速する事なく加速。振り下ろされた剣に対して、ステラは裏拳で放った右拳で剣を持つ手を打ち、さらなる左手で、何かを放った。そうして剣を躱し通り過ぎたステラは、そのままジュラルミンケースを蹴り飛ばす。
その直後、騎士型のブラックリンカーがその鎧を砕かせながら吹っ飛ぶ。
『風圧弾』
圧縮した空気弾を相手に飛ばして叩きつけるだけのシンプルな攻撃。ただし、『風』とは本来見えないもの。故に、その攻撃が見える事はない。
そうして、ジュラルミンケースを蹴っ飛ばし、その衝撃で開いたそれを、ステラは視認する。
「・・・っ!?」
それを見て、驚く。
「なにこれ・・・!?」
そのジュラルミンケースの中には、リンカーとは思えない、何かの機会がみっちりと入っていた。
同時に、それを見ていたロロも目を見開く。
(ケースの下に、照射装置・・・!?)
黒い円状のプラスチック窓。ロロは、それを直感的に何かの照射装置であると判断した。なら、あれが向けられていたものは―――
「下・・・・」
気付いた時には、遅かった。
突如として感じ取った凄まじい重圧。その後に、ステラの下にかかる影。気付いて見上げれば、そこにあるのは、思わず目を逸らしたくなる威圧を感じてしまう天秤。
間違いなく、カテゴリーIXリンカー『リブラ』である。
それが、今、起動した。
「あのケースは、下に隠してあったリブラにエーテルを送り続けるための装置だったんだ・・・」
それに気付けなかった事に、ロロは呆然とする他無かった。
とにかく、その天秤を前に、ステラたちは思わず跪きたくなる感覚を覚える。
その存在感に、屈したくなる。立ち向かおうという気が無くなっていく。まるで、『神』と対峙しているかのような―――。
「オラァ!!!」
そこへ、篝が飛び込んでその天秤にミサイルキックを叩き込んだ。
『か、篝!?』
「篝君!?」
「篝か!?」
「え、先輩!?」
その登場に、クローラル一行は驚く。
「なんだか知らねえが、ぶっ壊すぞ!」
突然、現れた篝が叩き込んだ先制攻撃。しかし―――
「何も効いてないな」
着地した後に、篝がそう呟いた。
『効いてねえのかよ!?』
「正直ここまで手応えねえとちょっとショックだな」
「セラはどうした?」
「セラなら一緒についてきてた筈だぞ。ほらあそこ」
と、篝が指差せば、そこには観客席の入口で突っ立ってるセラの姿があった。こちらに気付けば、視線を集めている事に気付いて顔を赤くしながら一同の下へと来る。
「それで、これは一体どういう状況だ?」
と、篝が尋ねる理由は、どういう訳かリブラに向かって膝をついているブラックリンカーたちにある。
「ああ、たぶん、今私たちに起きている現象が理由だ」
クルエが頭を抑えながら、リブラを見上げる。太陽を見ている訳ではないのに凝視する事が出来ない。これがリブラの何かしらの能力だろうか。
「リブラをまともに見る事が出来ない。それどころか、攻撃する意志すら削がれる・・・」
「はい・・・というか、戦意そのものがどんどんなくなっていくような・・・」
『クソッ、どうなってんだ一体・・・』
何かしらの能力でリブラに攻撃が出来ない。いや、しようと思えば出来るのだろうが、攻撃する必要性を全く感じないのである。
自然現象や錯覚ではない。だが、確かにそこにあるのに攻撃しようとする意欲が失せる。
一体、これはなんなのか。
能力を掴みかねている状況で、頭を悩ませている一同。だが、
ドゴン
「「「え?」」」
篝は、複製した瓦礫の欠片をリブラにぶつけた。
「・・・そんなことないが?」
篝は心底不思議そうに皆を見ていた。
「お前、平気なのか?」
「俺からしたらお前らが変なように見えるが、今はそんな無駄な事考えてる暇はないだろ」
篝は再びリブラの方を見る。
「攻撃出来るのか出来ないのか。今はこれだけ考えてりゃいいんだよ。革星機関の計画を潰さなきゃ、こんな下らねえ事に巻き込まれた奴らが浮かばれねえだろ」
篝の言葉に、全員は目を見開く。
「相手は神でも仏でもあるまいし、何を怖気づく必要がある?」
普段はだらけてて自分勝手。けれど、だからこそ芯があって決してぶれない。
「俺は許さない。高見の見物決め込んで嘲笑う奴らも、こんな下らねえ事で大騒ぎする奴らも」
篝は手袋の裾を引っ張り、怒りの形相を以て、上空でふんぞり返っている天秤を睨み上げる。
「全部ぶっ潰して、腹いっぱい飯食うぞ。それで終わりだ」
言っている事は至極当たり前だ。だけど、彼の言葉には、勇気を与える力があった。
『ハハッ』
だから、なんで自分が攻撃出来なかったのか分からなくなっていた。
『そうだな。どうせなら高いもん食おうぜ高いの!A5ステーキ!』
ゲニウスに乗るユウゴが、はしゃぎながら言う。
「そんな高級品買うお金ありませんよ。でもステーキはいいですね」
ロロが自身の能力で車に乗せていたドローンを飛ばす。
「うん、みんなで帰って、美味しいお肉パーティーにしましょう!」
ノリアが戦槌を器用に回して、その槌に衝撃波を溜める。
「全く、そのお金は誰が払うんだ?」
クルエが、鎖を操り、いつでも放てるように用意する。
「みんな、やる気になっちゃって。これじゃあ怠けることが出来ないね」
「「「お前はそもそも怠けるな!?」」」
「うへえ四面楚歌」
ステラが、全員から総ツッコミを喰らう。
「皆さん、準備は良いそうです」
ラーズが篝の隣で、ゴライアスが一同の後ろで、その剛腕を広げる。
「さっさと潰して帰るぞ」
「「「おお!!」」」
リブラは、まだ動かず。
「小手調べだ。ユウゴ、これ投げろ」
『任せろ』
篝が投げたバスケットボールサイズの何かを受け取ったゲニウスは、それをリブラに向かって投げる。それは途中で破裂し、飛び散ったのは無数の鉄の礫。それがリブラの巨体にまんべんなくぶつけられる。
だが、堪えている様子はない。
『硬っ!?』
「傷一つ無しか」
篝は視線を下へと向ける。そこには未だに反応しないで跪いたままのブラックリンカーたちがいるだけだった。
「反応無し・・・クルエ、鎖をこのドーム中に仕掛けられるか?」
「先生をつけろ」
そう言いつつも、クルエがドーム中に鎖を張り巡らせ、結界とした。
「これでいいか?」
「ああ。ノリア、セラ、二人はこいつを地上から直接攻撃してみてくれ。俺とステラは空から攻撃してみる」
「何する気なのよ」
「見れば分かる。ロロはドローンでドーム全体を監視、ユウゴと先生はこのまま他のブラックリンカーを見ていてくれ」
「分かりました」
『任せろ』
「分かった」
「先輩、行こう。ラーズ」
篝に呼ばれ、ラーズが頷く。
「準備は出来ています」
そこには、両掌を上に向けて構えるゴライアスの姿があった。
「篝くん、何させる気?」
「カタパルト」
篝はステラの襟首を掴むと、ゴライアスの手の上に乗せた。
「私猫じゃないんだけど!?」
「怠け猫が何言ってんだか」
そんなやり取りを、セラは呆れた様子で見ていた。
「全く・・・」
その後、すぐにリブラの方を向く。
「行きましょう、ノリア先輩」
「うん、チャージも満タン、行けるよ!」
ノリアとセラが駆け出す。ブラックリンカーたちは未だ反応せず。
それを好都合とみて、ノリアとセラは加速する。
「『狂血覚醒』」
「『限界強振』・・・」
狂化能力出力三割の身体強化。それによって拳を握り締めたセラは、そのまま連撃を天秤の巨体に叩きこむ。
一方のノリアは、戦槌に断続的にコードスキルを使用する事で、能力の『波』を増幅。彼女が扱える最大増幅された『揺れ』。
『ABC戦術』
『全通激震』
連撃と強振。そうして叩き込まれた二人の攻撃だが、反応はそれぞれ芳しくない。
「いっダぁ・・・!?」
「くう・・・!?」
叩きつけた拳が逆にいたみ、戦槌に至っては逆に弾かれる。
「ドんだけ硬イのよ・・・!?」
「これが、カテゴリーIXリンカー・・・!?」
セラが悪態を吐き、ノリアは戦慄を隠せない。
「だったら威力を引き上げる」
ゴライアスによって飛び上がった篝。その飛来する先にあるクルエの鎖を掴むと、新体操よろしく回転。勢いをつけてリブラへと突撃する。
そのまま飛び蹴りを叩き込むも、やはり効果はない。だから篝は再びリブラを蹴って離れ、同じく飛んできたステラが篝の手を取り、今度はステラが自身の能力で振り回し、扇風機のような勢いを以て、篝をリブラへと投げ飛ばす。
『爆風射出砲』
その勢いを以て砲弾と化した篝が、再びリブラへと激突する。リブラの身体が大きく傾く。だが、
(これでへこみ一つ無しか!?)
その強度に篝は目を見開く。しかし、そこへ鎖を足場に上ってきたラーズと浮遊で追従するゴライアスが来る。
「『換装』」
ブッシュハンマーへと拳を乾燥したゴライアスの拳をリブラへと叩きつける。
「『鉄槌制裁』!」
その強大な一撃で、リブラは更に傾く。それでも、その体に傷はつかない。
(ゴライアスでもだめか、何か有効的手段は・・・)
歯噛みしつつも周囲を探る篝。
(仕組みか、特殊か、単純な火力不足か。もし火力不足なら、俺たちに勝ち目は無い。だが、どうにもそういう訳じゃなさそうなんだよな・・・)
落下しながら、篝は頭を回す。
(カテゴリーIX、リブラ、天秤・・・・法・・・法律!)
着地する篝。
「法律・・・か・・・」
篝は再び飛び上がる。
「先輩、もう一回!」
「あんま効いてないみたいだけど」
「まずは倒す!」
その篝の言葉に従い、ステラは再び篝を振り回し『爆風射出砲』で篝を発射する。
再び篝が激突し、傾いていたリブラが更に大きく倒れる。その最中で、クルエが仕掛けた鎖にもたれかかってしまう。
「今!」
「全く、事前に言っておけ!」
篝の言葉に従い、クルエが鎖を操り、リブラの身体に絡みつかせる。そしてその状態で、リブラが倒れていく方向へ強く引っ張る。それによって、戻ろうとするリブラを抑え込む。
「ラーズ、構えろ、もう一発行く!」
「分かりました」
再びラーズがリブラへと飛び込み、それと同時に、篝も再び飛び上がる。
「三回目!」
「今度は強めに行くよ!」
再び、ステラが篝を掴んで回転を始まる。しかし今度は勢いが倍近い回転を起こし、軽く竜巻が起こるほどに回転する。そして、十分な勢いと共に篝が再び放たれる。
同時に、ラーズもゴライアスを操りその腕のハンマーを、篝の激突と同時に叩きつける。
『爆風射出砲』
『鉄槌制裁』
それを受け、リブラの巨体が更に傾く。だが、地面にはつかない。リブラはまだ、浮遊する。
「まだ倒れない!?」
「だが、十分だ」
ぎしり、とリブラの身体に巻き付く鎖が軋む。
その巨体のすぐ傍では、クルエの鎖を掴む、ゲニウスの姿があった。
『倒れろデカブツ!』
ゲニウスが、その駆動部を軋ませて、背にあるEドライブを全開で稼働させ、その腕を振り下ろす。
それが、リブラの身体を地面へと倒す。
凄まじい音と土煙を立てて、リブラが地面へと落ちる。
「倒した・・・」
倒れたリブラから離れ、篝とラーズ、そしてステラが着地し、ゲニウスも戻る。
「とりあえず倒してみたが、さてどうしたもんか・・・」
「あれほどの攻撃で傷一つつかない硬度だなんて、どうやって突破すればいいんでしょうか?」
「そのあたりについては考えはあるが・・・」
土埃が舞う中で、篝たちは警戒を緩めることなく睨みつける。
土埃の中にいるリブラの姿を、見逃さないように―――
『不敬』
ずん、と凄まじい重圧が、彼らに圧し掛かる。
「ぐっ!?」
「これは・・・!?」
同時に、周囲にいるブラックリンカーが次々とその肉体を失い、その本体を残してその場に落ちる。
そうして流れ出た黒い液体のようなものが意思を持つかのように、リブラのいる土埃の中へと向かっていく。
その様を見て、篝は背筋を走る悪寒と共に、拳を握り締めて構える。
「・・・ブラック化しやがった」
そこにあの巨体は存在しなかった。どこか神々しかった天秤はその巨体を消失させ、代わりにその顔全てを布で隠した女性へと変身していた。
その両手には天秤の皿をぶら下げ、どこか気怠そうな雰囲気を以てそこにいた。
「そんな・・・カテゴリーIXまでブラックリンカーになったって言うんですか!?」
ロロが怯えるようにゲニウスの影に隠れる。
『おいおいどうすんだよ・・・化け物リンカーのブラックなんてどう相手にすりゃあいいんだよ!?』
リブラの視線が、布越しに篝たちへ向けられる。
「―――平伏せ」
無機質な声が聞こえたかと思えば、突如として篝の傍でドササ、という音が聞こえた。
その音が聞こえた方を見れば、そこには地面に倒れ伏すステラたちの姿があった。
「おい、どうした!?」
「わかりま、せん・・・」
その中にはラーズの姿もあり、どうにか起き上がろうと地面に手をついていた。
「リブラの声を聞いた途端、その声に逆らえなくなって・・・!」
「命令の強制・・・!?」
そこまで聞いて、篝は自分のミスを悟る。
どういう訳か自分だけ命令を効いていない状況、今までに聞こえた二言『不敬』と『平伏せ』。
そして、今、それを行った奴から目を離している。
「人間風情が不敬ぞ」
「やべっ」
既に、リブラは篝のすぐ後ろにまで迫っていた。反応が間に合わない。防御も回避も出来ない。
だが、リブラの攻撃が届く前に、ステラが篝を押し退けてリブラの振り抜いた腕を受け止めた。
「うお!?先輩!?」
なんとか助かった篝は胸を撫でおろすも、すぐさま加勢しようと地面を蹴ろうとする。
「篝くん、いつも通り!」
しかし、ステラの声がそれを止める。
「いつも通り分析して!」
「いや、まともに動ける俺の方が壁役するべきだろ!?」
「だからだよ!」
リブラが動く。右足が浮き、ステラの左脇腹を狙って蹴りが放たれる。その蹴りが、ステラの左脇腹に突き刺さり、軽く吹っ飛ぶ。
「『神』を前に、許可なく口を開く事、不敬の極みである」
しかし、ステラは何事も無かったかのように着地する。
蹴りが直撃する直前、風でクッションを作り、蹴りの威力を相殺したのだ。
「まともに動ける君だから頼るんだよ!私たちはこいつの能力でまともに動けなくなる。だから自由に動ける君が能力を見破るべきなんだ。いつものことだよ。私たちが前に出て、君が後ろから能力を分析する。それで何度も私たちの窮地を救ってきたじゃない」
「そりゃそうだが・・・」
リブラが篝に標的を絞ったのか篝に向かって真っ直ぐ迫る。
「不敬」
「それしか言えねえのか!?」
振るわれる天秤、それを紙一重で躱す篝。そこへステラが飛び込み、リブラの腹の横に蹴りを入れる。
「篝くん!」
「っ・・・」
ステラの叫びに、篝は苦い顔をする。
「失せよ」
「ぐっ!?」
リブラの放つ言葉に、ステラは従いそうになる。だが、なんとか耐える。
「失せよと言っている」
だからリブラは今度は実力行使に出る。ステラは言葉の影響で隙が出来てしまっている。
「ぐ・・・・ゥ・・・・」
だが、そこでセラが地面に手を付く。
「ギ・・・ギ・・・イ・・・グ・・・『狂血覚醒』!」
能力を制御が出来る限界まで出力を引き上げ、その身を弾丸へと変えてリブラへと飛び掛かる。
「アァァァアアアアア!!!」
「暴走・・・じゃねえなギリ残してんな!?」
「ハヤクシロォ!!」
「ああ、もう、分かったよ!」
リブラに対して半暴走状態で殴りかかるセラ。
それに続くように立ち上がる、クローラルなんでも事務所メンバーたち。
「死ぬんじゃねえぞ」
「「「おお!」」」
第二ラウンド Fight!




