第25話、重ね重ねな説明をイイですかねぇ?
ようやっと三人目の婿候補に名前が……!?
侯爵家三男ヘルマン・フィジリアータ。
二つ名は『冷酷王子』、『銀の君』。
今年15歳で学園に入学した、俺の三人目の『婿』候補。
二年前に行われた『婿』選抜茶会においても既にお母様の推す外注本命の一人であったし、俺を一目で気に入ったとかでその場で膝付きプロポーズを咬ましてくれた記憶は直ぐに消去したい程だ。
お母様が外注してくれやがりましたこの『婿』候補。
傍から見ればそりゃもう文句の付け所の無い最高級物件。過去には、我が家を同格と侮った公爵家の高飛車令嬢がコイツを解放しろ!と俺に直談判に来てその日の内に家ごと消え去った事もある。いや事実です。
そう、例のお茶会での出来事だったんですよ。
彼の銀髪銀瞳の組み合わせは、この世界における『色素の薄さが貴ばれる』基準において俺の金髪金瞳に次ぐ尊さなんだとか、俺としては知らんがなである。
が、ソレもあってかお母様からの圧はハンパなかった……。
そもそも俺の今の家は筆頭公爵家。かつお父様はこの国の宰相たる役目を担ってる。あ、ちなみにその別名は『王家の尻拭い役』ね。ご愁傷サマですお父様。
でもって俺は一人娘で第一王子で王太子の婚約者。
5歳で結ばれたこの婚約は、かつてのお嬢様の一目惚れによるゴリ押し敢行。8歳で俺が成り代わるまでの三年間、お嬢様はこの俺様鬼畜仕様な第一王子に尽くしたらしい。
ちなみにこの第一王子、側妃にもなれない身分の子爵令嬢から産まれた愛妾の子供。けれど王家の年功序列制度に従い王太子に冊封された。んでその後ろ盾を得るべく我が家の一人娘であるお嬢様との婚約と相成ったんだよね。
でも一人娘を王家の婚約者にしてしまったら、それじゃ筆頭公爵家の我が家の跡継ぎはどうなる?!となるが、俺がこの国の貴族の脳ミソの腐り具合を憂いた第一の理由が実はこの問題解決方法。ズバリ、『婚約者とは別に『婿』を募り、公爵家を継ぐ子供を産め』だそう。
あ、もちろん婚約者である王太子の子供とは別に、だ。
……ホンマに頭腐っとんかい!この国っっ!!
『お嬢様』を引き継いだので、俺の今の身体は女だが実際のトコ元の魂やら記憶やら魔力やらはそのまんま。そう、元の性別は『オトコ!』なんですのよ、俺はっ!でもって更に言えば三十路で妻と三人の子持ちでもございます!!
だから行為がどーゆーモノかは存じ上げてますけどそれ以前の問題だからね、コレは特に。
よぉぉおく考えてごらんなさいな。
…………ね?寒イボ止まらんでしょ?!イヤでしょ!?
なので、『婿』候補者三人のうちの二人は実は俺仕込みの偽造だったりする。その辺は後ほどとして。
さて、三人目の外注『婿』候補のヘルマン君へと話を戻す。
初対面プロポーズを敢行し、見事お母様から候補として認められ、今年学園に入学なさったこの方を俺は心底要らんしご遠慮申し上げたいのでこちらも対策を打つべく動き出した。
彼は、どうやら俺の容姿が好みど真ん中らしい。
――との要らん情報をくれたのはユーリ駄犬だ。
あー……でもコレも彼にアシュリーちゃんを押し付ける作戦に便乗させられる、ある意味有力情報。
このまま成長すれば俺の容姿はより綺麗系になる、筈。
ちなみに15歳までは可憐系寄りだったのよ実は。
で、お嬢様と俺の容姿は瓜二つ。
成長の過程も同じであろうならだが、この先の俺の容姿は彼の好みからはハズレる可能性が高い。つまり彼の容姿の好みは綺麗系より可憐系なのだよズバリ。
で、俺が綺麗系成長遂げればまず好みは逸脱する。
ただし、それには後五年ほどの時間が必要だけど。
しっかし学園中がアンリエッタの容姿にざわめく中で、顔色変えずに廊下ですれ違っても視線一つ寄越さずに完全無視を貫いたのはそのせいですか、納得。
だってアンリエッタは綺麗だものっ!!
俺の奥さんだから惚れさせはせんが!!
この世界で二年を過ごし、鏡越しでも構わないから遭いたい!な禁断症状を拗らせた俺が、ちょうど出逢った頃のアンリの容姿を借りて学園潜入捜査を開始した。
目的?
この外注『婿』候補に女を充てがう為にですがナニか?
で、その目的に叶いそうなステキな少女を見つけたので友人になりがてら捕獲しようかと画策中なのが今現在。
―――誰ですか、生贄だろう?と仰るの。
まぁ、否定はしませんけど。




