26話、戦略的撤退カマしてもイイですかねぇ?
『アシュリーちゃんとお友達になろう作戦』。
何か似た出だしがあったかもだがきっと気の所為。
過去は振り返りはして反省材料を促す良い教訓とはなり得ても、時間を戻し起こるべき未来の運命を覆そうなぞ神の領域であり絶対不変の法則。けれどもそう簡単には成し得ない奇跡……の筈?
―――いや、すでに2度その奇跡とやらに巻き込まれている俺がココに居るワケで、この事象の奇跡の部分には是非とも物申したいなぁ。
反論?聞くだけは聞くよ、タダだしね♪
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さぁて、では改めまして、と。
幸いにも、お友達になる件に関してはアチラから声を掛けてに来てくれたのでコチラの苦労は無い。ちょ〜っと美意識に関してはお話合いが少し――いやかなり必要だけど。
ド頭の内も外も花満載だった某阿呆を彷彿とさせる美意識なんざ完膚なきまで叩き潰して殲滅する!記憶ごと海底でも地底でも沈めて構わん!!この辺はユーリの全面協力を得られたので尚のコト全力で挑める。ありがたや~。
素材が良くても後味までクドいのはちょっと……。
……って、そーいや何年か前に昔のお嬢様の衣装にも似たような感想漏らしたヤツおったな。お嬢様つきの侍女ズな方々の一人、やけに的確だったと今なら理解も納得も出来る。
ではまずはアシュリーちゃんをお呼びだてしてついでに採寸させて取り敢えずを仕立てるべく商人をば――
「あーお嬢様ぁ。専属が廊下で待機中ですぅ」
―――へいっとな?!
専属とはナンぞや!?
「あれぇ?二年前にお嬢様が腐海ファッション一層なさったじゃあ無いですかぁ」
「あーうんしたねぇ」
「その後にぃ、少ししてからかなぁ?旦那様がゴールデン駄犬と手を組みましてぇ」
「あーうん、察した……」
この二年、ユーリはその四分の三を来訪時のまま過ごしている。時おりは人間に戻るようだが、俺の周囲では特に犬なので侍女ズから見ればもう犬扱いなのだろう。俺の部屋に居る時なんぞほぼヘソ天ごろダラな寛ぎ姿だもんねー。
使えてるお嬢様にすら遠慮しない侍女ズ代表格のミアがユーリに手加減する筈も無し。年頃なお嬢様の部屋に居座るアド兄とアルフ兄に関しては、公の立場が護衛役兼婿候補だから辛うじて許容してるみたいだが。
そう。お嬢様の婿候補は三人居る。
一人が外注、二人は自薦による推薦。
身体の血の繋がりはゼロだけど、俺の事情をよぉおくご存知な身内に婿候補を依頼しまして何とか時間稼ぎをば。俺をこの世界に寄越した至高の存在《神とやら》の言い分を信じるならこの世界に居るのは後十年弱。
その後の事?知らんがな。
ハッキリと言えるのは、万が一にも返す気無いならこの世界を滅ぼしてでも……ってヤツですかねぇ、はい。
なので至高の存在にはそれまでには是非とも代替案を、脳みそ沸騰させてでも絞り出して頂きたいモノである。それに、それこそ万が一……が起きたとしたら黙って無い存在も向こうにも居るのでこの心配は保留としよう。
とるもの取り敢えず、今は待たせてる専属とやらにさっさと使命を与えねばなるまい。ただ一つだけ心配なのはユーリの人選ってトコか。あのヒト、妙ーなモン拾うクセあるからなぁ……。んでそんなクセ者が好物なのよ。
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「――あら!あら!あら!まあっ!!ホントのホントにワタクシがこんな逸材を捏ねくり回してもよろしいの?!こんな!こんっな!造形の美に愛されたかの様な美少女をッッッ!?」
…………ぱたん……。
開けて三秒で静かに閉めた。
イヤな予感ほどよく当たるモノである。
それほど分厚くは無いが頑丈かつ防音にも優れている筈の筆頭公爵家のドア。そこから閉めても尚響く、野太い男の声による女口調。
――――この世界にも居たのかオネエ!?!
視覚と聴覚の暴力に曝された俺は、前から連綿と続いた己の歴史の中でもそう何度も無い、今すぐ『敵前逃亡』を図りたい気分を心の底から味わい噛み締めていた。
そもそも、捏ねくり回すて俺は小麦粉か?!




