(一)決まった手順
◆ 決まった手順
発掘坑の奥から、次の古代兵器が姿を現した。
二体目を破壊してから、それほど時間は経っていない。
それでも、先ほどまでとは状況が違った。
街道へ続く道の左右には、土と岩で壁が作られている。
その先には、ローディア王国の大砲が並んでいた。
砲身はすべて、古代兵器が通る一点へ向けられている。
さらに離れた高台では、術士たちが投石術に使う岩を集めていた。
「位置についた!」
隊長の声が響く。
「左右から攻撃しろ! 正面には立つな!」
術士たちが火と風を放った。
古代兵器の装甲へ当たる。
傷をつけるには足りない。
だが、攻撃を受けた古代兵器は術士たちへ向きを変えた。
左右から交互に攻撃を加え、正面の道へ誘い込む。
土壁と崩した岩によって進路を狭められた兵器が、大砲の前へ近づいていった。
「もう少し右だ!」
隊長が叫ぶ。
右側の術士が攻撃を止める。
左側から風の刃が飛ぶ。
古代兵器が、わずかに向きを変えた。
「そこで止めろ!」
◆ 装甲を開く剣
シアがセトへ手を差し出した。
「最初はわたしだ」
セトはその手を取る。
「シア」
赤橙色の光が集まり、炎の剣となった。
精霊剣・極炎。
シアの力が、セトの全身へ流れ込む。
古代兵器の上部が開いた。
砲口へ原光が集まり始める。
セトは地面を蹴った。
兵器の脚が振り下ろされる。
その下をくぐり、関節を足場にして上へ駆ける。
次の脚が横から迫った。
極炎で受け流し、その勢いを使って正面装甲へ飛び移る。
『核は、前の兵器と同じ位置だ』
シアの声が聞こえた。
「ああ」
正面中央より、わずかに下。
装甲の奥に、核がある。
セトは極炎を上段へ構えた。
『一度で開く』
刀身を包む炎が赤から白へ変わった。
「極炎!」
極大技・極炎。
赤白い炎が、古代兵器の正面へ振り下ろされた。
一枚目の装甲を裂く。
二枚目を焼き切る。
奥にある骨組みと、原光を運ぶ管が断たれる。
切られた装甲の端には、すぐに新しい部品の輪郭が浮かび始めた。
古代兵器へ原光が流れ続けている。
再生は止まっていない。
それでも、極炎は再生より先へ進んだ。
核を覆っていた最後の装甲が砕ける。
球状の核が露出した。
その周囲には、精霊力の防御壁が残っている。
◆ 原光を断つ剣
『ここまでだ』
極炎が赤橙色の光へほどけた。
人の姿へ戻ったシアの体を、セトが受け止める。
地面へ降りると、ネアが待っていた。
「次です」
差し出された手を取る。
「ネア」
黒に近い光がセトの手へ集まった。
細身の刀身を銀色の光が縁取る。
精霊剣・絶光。
古代兵器の装甲は、すでに閉じ始めていた。
露出した核の左右から、新しい部品が伸びている。
時間はない。
『いつでも』
セトは絶光を核へ向けた。
「絶光!」
極大技・絶光。
音のない波が、周囲一帯へ広がった。
空から流れ込んでいた原光。
大地の中を通っていた原光。
森や川から古代兵器へ引かれていた原光。
そのすべてが、完全に途切れた。
伸び始めていた部品が止まる。
輪郭が崩れ、光の粒となって消えた。
古代兵器の砲口からも、光が失われる。
核を覆っていた防御壁が揺れた。
球状の壁が薄くなり、やがて、その輪郭が完全に消えた。
※第17話「数日間の殲滅戦」は全六回です。
続きます。
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