(六)一人で終わらせない
◆ 一人で終わらせない
「待て」
セトが言った。
「極大技・極炎を使った後で、すぐに絶光も使えるのか」
「同時に使う必要はありません」
ネアが答える。
「まず、シアが精霊剣・極炎になります」
「極大技・極炎で、核までの装甲を開く」
シアが続ける。
「シアが人の姿へ戻った後、わたしが精霊剣・絶光になります」
「極大技・絶光で、露出した核の防御壁を完全に無効化する」
「その瞬間に、大砲を撃つ」
隊長が言った。
「投石術も同時です」
ネアが答える。
「セトは?」
シアが尋ねる。
「俺は何をする」
「二つの極大技を、確実に届かせてください」
「それだけか」
「それだけではありません」
古代兵器の攻撃を避け。
正面へ接近し。
極大技・極炎を核の位置へ正確に当てる。
次に露出した核へ近づき、極大技・絶光で防御壁を完全に無効化する。
どちらも、セトが二本の精霊剣を扱えなければ成立しない。
「最後の一撃まで、セトが行う必要はないということです」
ネアは大砲を準備している兵士たちを見る。
「古代兵器の数は多い」
発掘坑の奥で、別の光が動いている。
先ほどより地表へ近づいていた。
「一体ずつ、セトが白炎や黒月まで使って核を壊していては間に合いません」
「人間の武器で壊せる部分は、人間へ任せる」
セトが言った。
「ええ」
「確実に当たるのか」
「それは、兵士たちの役目です」
隊長が答える。
「核が露出していて、防御壁もないなら当ててみせる」
「外したら?」
シアが尋ねる。
「次を撃つ」
「遅い」
「なら、最初から全弾を当てる」
隊長は並べられた大砲を見る。
「一門ずつ撃つ必要はない。核が露出した瞬間に、全門を一斉に撃つ」
「投石術も重ねます」
ネアが言った。
「複数の砲弾と岩を同時に当てれば、核は破壊できるでしょう」
「今度は白炎も黒月も使わない?」
シアが尋ねる。
「使わずに済む戦い方を作るのです」
ネアは発掘坑の奥を見る。
古代兵器は一体ではない。
何体出てくるかも分からない。
セトと二人の精霊王が、毎回すべての力を使い切る方法では最後まで持たない。
「確実で」
ネアが言った。
「速く」
隊長が続ける。
「同じ形で繰り返せる戦い方が必要だ」
セトは発掘坑へ目を向けた。
奥から、次の古代兵器が岩を砕く音が聞こえている。
「大砲を並べろ」
隊長が命令した。
「核が見えたら、俺の合図で全門発射だ!」
兵士たちが動き始める。
砲身の向きをそろえる。
砲弾を運ぶ。
火薬を詰める。
術士たちは、絶光の力が届く場所から離れ、大きな岩を集め始めた。
極大技・極炎で、核までの装甲を破壊する。
極大技・絶光で、核の防御壁を無効化する。
最後は、大砲と投石術で核を破壊する。
二つの極大技は、それだけで戦いを終わらせるためのものではなかった。
人間の攻撃が届くところまで、道を開くためのものだった。
次の地鳴りが響く。
発掘坑の奥から、新しい金属の脚が姿を現し始めていた。
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