↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第16話 二つの極大技

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
87/213

(四)届かない二本

◆ 届かない二本


 左右へ分かれた古代兵器の中央に、核が残っている。

 核を覆う防御壁は、先ほどまでより薄い。

 原光の供給が完全に断たれているため、新しい力は入ってこない。

 壊すなら今しかない。

 セトは右手の白刃を突き出した。

 白い光が核へ向かう。

 防御壁へ触れた瞬間、光が横へ流された。

 以前よりは深く入っている。

 それでも核には届かない。

 左手の黒刃を、防御壁へ当てる。

 黒い刀身が、壁に残る精霊力を吸収する。

 球状の輪郭が揺れた。

 少しずつ薄くなる。


「消えろ」


 セトは黒刃へ力を込める。

 防御壁の一部が欠けた。

 すぐに白刃を、その隙間へ突き込む。

 白い光が防御壁の内側へ入る。

 だが、核へ触れる直前で、残っていた壁に軌道を曲げられた。


「まだ足りない」


 原光の流れが戻り始めていた。

 遠くの空から、細い流れが伸びてくる。

 地中でも、途切れていた原光がつながり始めている。

 極大技・絶光によって作られた時間が、終わろうとしていた。


「早くしろ!」


 隊長の声が響く。


「分かってる!」


 セトは黒刃で防御壁を吸う。

 白刃で欠けた場所を攻撃する。

 吸収。

 放出。

 二本を交互に使う。

 防御壁は薄くなる。

 それでも、完全には消えない。

 左右へ分かれた装甲にも、原光が集まり始めている。

 切断面へ、新しい部品の輪郭が浮かんだ。


「セト!」


 シアの声がする。


「振り返るな!」

「何だ」

「そのまま二本を出していろ」


 背後から、シアとネアが近づいてくる。


「休んでいろと言った」

「休んでいる場合ではない」


 シアが答える。


「わたしも同意します」


 ネアがセトの左側へ立った。


「剣にはなれないのだろ」

「精霊剣になれないだけです」

「力がなくなったわけではない」


 シアはセトの右側へ立つ。


◆ 白炎と黒月


 シアが白刃へ手を伸ばした。


「白刃は、力を外へ出す剣だったな」

「ああ」

「なら、わたしの力と同じ向きだ」


 シアの指先から、白い炎が流れる。

 白刃の表面へ炎が重なった。

 白い刀身が、さらに強く輝く。

 刃そのものが炎へ変わったように揺らめいた。


「白炎」


 シアが言った。

 白炎。

 精霊剣・極炎ではない。

 セトの白刃へ、シアが残った力を重ねた剣だった。

 ネアも黒刃へ指先を添える。


「こちらは、前にも作りましたね」


 黒に近い光が、黒い刀身へ広がる。

 表面に細い銀色の線が浮かんだ。

 黒月。

 精霊剣・絶光ではない。

 セトの黒刃へ、ネアが残った力を重ねた剣だった。

 右手には白炎。

 左手には黒月。


「これなら届く」


 シアが言った。


「黒月で防御壁を奪います」


 ネアが続ける。


「白炎で核を破壊してください」

「二人とも、まだ力が残っていたのか」

「少しだけだ」

「一撃分です」

「十分だ」


 セトは黒月を、防御壁の欠けた場所へ当てる。

 通常の黒刃より強い吸収が始まった。

 残っていた防御壁が黒月へ引かれていく。

 球状の輪郭が大きく歪む。

 外から原光が戻ってくる。

 防御壁を作り直そうと、細い流れが核へ向かった。

 黒月は、その流れごと吸い上げる。


「今です!」


 ネアが叫ぶ。

 防御壁の一部が完全に消えた。

 セトは右手の白炎を突き出す。

 白い炎が、開いた穴へ入る。

 防御壁にそらされない。

 まっすぐに核へ届く。


「白炎!」


 白い炎が核の表面へ突き刺さった。

 亀裂が走る。

 黒月は、核へ戻ろうとする原光を吸い続ける。

 核は亀裂を直せない。

 白炎がさらに内部へ入った。

 亀裂が広がる。

 球状の核が大きく揺れた。


「壊れろ!」


 白い炎が核の中心を貫く。

 核が内側から割れた。

 複数の破片へ分かれ、内部の光が消える。

 左右に分かれていた古代兵器の脚から力が抜けた。

 二つの巨体が、別々の方向へ倒れる。

 地面が大きく揺れた。

 黒月が消える。

 白炎も白い光へ戻り、セトの手からほどけた。

 原光の流れは戻り始めている。

 だが、もう核はない。

 切断された装甲も、壊れた脚も再生しなかった。



※第16話「二つの極大技」は全六回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。