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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第15話 二本目の精霊剣

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(八)最後の極炎

◆ 最後の極炎


 古代兵器へ向かう原光の流れが戻り始めている。切られた一本がつながる。続けて二本目。

 正面装甲の端にも、淡い光が集まり始めた。それでも、前の戦いとは違う。核までの道は開いている。

 防御壁も切れている。極炎の前を塞ぐものはない。


「一撃で壊す」

『ああ』


 シアの力が極炎へ集まる。赤白い炎が刀身を覆う。兵器の内部が、炎の光に照らされた。

 核の表面が脈打つ。切られた防御壁を戻そうと、周囲から精霊力が集まり始める。


『右側から戻ります』


 ネアが言った。セトは絶光を振る。防御壁へ向かっていた流れを再び切る。壁の切れ目は閉じない。


「行くぞ!」


 セトは極炎を突き出した。赤白い炎が、開いた道を一直線に進む。装甲へ力を奪われない。

 骨組みに阻まれない。防御壁にそらされない。極炎の切っ先が、核へ突き刺さった。球状の表面に、大きな亀裂が走る。


『押す!』


 シアが力を集める。炎が核の内部へ入る。亀裂が広がった。古代兵器の全身が大きく震える。

 核を修復しようと、周囲の原光が一斉に集まり始めた。


『来ます!』


 セトは左手の絶光を振った。核へ向かう流れを切る。一本。二本。

 三本。切っても、さらに別の流れが来る。絶光を連続して振る。核へ集まる原光が途切れる。

 極炎がさらに深く入った。


「壊れろ!」


 核の亀裂が全体へ広がる。表面が一つ。二つ。複数の破片へ分かれた。

 内部からあふれた光を、絶光が左右へ切り分ける。淡い光が兵器の内部へ散った。核の中心にあった輝きが消える。

 古代兵器の音が止まった。


『離れろ!』


 シアの声。セトは二本の剣を引き抜き、開いた装甲から外へ飛び出した。直後、古代兵器の巨体が傾く。

 脚から力が抜ける。地面へ倒れ、大きな音を響かせた。


◆ 戻らないもの


 誰も動かなかった。兵士たちは武器を構えたまま、倒れた古代兵器を見ている。正面の装甲は失われている。

 内部の部品も露出している。だが、原光は集まらない。新しい部品も作られない。切断された脚も動かなかった。

 セトの右手で、極炎が赤橙色の光へほどける。シアが人の姿へ戻った。左手の絶光も黒に近い光へ変わる。

 ネアがセトの隣へ降り立つ。


「止まったのか」


 隊長が呟く。


「核はありません」


 ネアが答えた。今度は剣の中からではない。隊長にも声が聞こえる。


「原光も集まっていません」

「本当に倒したのか」

「もう戻らない」


 シアが言った。


「核を壊したからな」


 兵士の一人が、古代兵器の装甲へ石を投げた。硬い音が響く。反応はない。

 少しずつ、兵士たちが武器を下ろしていく。誰かが息を吐いた。別の誰かが、その場へ座り込んだ。

 声を上げる者はいなかった。喜ぶには、全員が疲れすぎていた。


「一体を倒すのに、これだけ必要なのか」


 隊長が言った。極炎。絶光。兵士と術士。

 投石機。どれか一つでも欠けていれば、核へ届かなかった。


「俺たちだけでも倒せた」


 シアが言った。


「兵士たちが装甲を壊さなければ、もっと時間がかかっていました」


 ネアが答える。


「その分、切った原光が戻ったでしょう」

「では、全員で倒した」


 シアが言い直す。隊長がわずかに笑った。


「ずいぶん素直だな」

「事実だからな」


 セトは倒れた古代兵器を見る。前の戦いでは、何度壊しても戻された。今度は戻らない。


「一本では届かなかった」


 セトが言った。


「二本なら届いた」


 シアが答える。


「二本だけではありません」


 ネアが付け加える。


「分かっている」

「ならよいです」



※第15話「二本目の精霊剣」は全九回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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