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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第15話 二本目の精霊剣

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(七)二本の役割

◆ 二本の役割


 極炎を横へ振る。正面装甲の一枚が切断される。その奥に二枚目が見えた。古代兵器の脚が、左右からセトへ迫る。


『右を受ける』


 シアが言った。


『左は流れを切ります』


 ネアの声が重なる。セトは右手の極炎で脚を受け流した。左から来る脚へは絶光を向けない。

 脚そのものではなく、その関節へ入る原光を切る。動いていた脚が途中で鈍る。セトはその下を抜けた。


「使い方が違うな」

『わたしは壊す』

『わたしは動かす力を絶ちます』

「分かりやすい」


 極炎が二枚目の装甲を切り裂く。絶光が、切断面へ集まる原光を絶つ。兵士たちの攻撃が、開いた場所へ集中する。

 投石機の石が骨組みを砕く。火の術が細い管を焼く。風の刃が内部の部品を切り飛ばす。

 古代兵器は、さらに多くの原光を集め始めた。暗闇の中へ、新しい光の道が浮かび上がる。


『右後方から四本です』


 セトは絶光を連続して振る。一本。二本。三本。

 四本。流れが切れるたび、古代兵器の内部で明滅する光が弱くなった。先に切った流れが、ゆっくりと戻り始めている。


「最初の流れがつながる」

『すべてを止め続ける必要はありません』


 ネアが言った。


『正面へ入る量を減らしてください』


 セトは古代兵器の周囲を回りながら、正面の再生へつながる太い流れだけを切る。絶光で供給を絶つ。極炎で装甲を壊す。

 二本の剣は、別々の役割を持っていた。黒月の時のように、どちらか一方を選ぶ必要はない。古代兵器が再び砲口を開く。


『力が集まりきる前に切れ』


 シアが言った。セトは砲口へ向かう原光の流れを、絶光で横から断つ。集まりかけた光が散る。

 砲撃は放たれなかった。


「止めた!」


 隊長の声が聞こえる。


「攻撃を続けろ!」


◆ 核への道


 極炎が骨組みを切る。絶光が原光の流れを絶つ。兵士たちが内部の部品を壊す。開いた傷が、少しずつ深くなっていく。

 前の戦いとは違った。黒月を傷口へ置き続ける必要がない。一度切った流れが戻る前に、別の流れを切れる。

 兵器の攻撃へ対処している間にも、切断された流れはすぐには元へ戻らない。再生よりも破壊が先へ進んでいる。


『中央より下だ』


 シアが言った。


『見えています』


 ネアが答える。絶光を通じて、セトにも核へ集まる原光が見えていた。複数の流れが、兵器の奥にある一点へ集まっている。


「あそこだ」


 セトは極炎を縦へ振り下ろした。最後の骨組みが切断される。球状の核が見えた。

 複数の輪に囲まれ、内部で淡い光が脈打っている。


「核だ!」


 隊長が叫ぶ。


「術士、中央を狙え!」

「待て!」


 セトが止めた。核の周囲には、見えない防御壁がある。外から攻撃しても、前と同じようにそらされる。


『防御壁へ入る流れを切ります』


 ネアが言った。核の周囲へ、細い原光が集まっている。装甲の再生とは別の流れ。防御壁を維持するためのものだった。

 セトは絶光を振る。一本目を切る。二本目。三本目。

 見えなかった壁の輪郭が、淡く浮かび上がった。球状の壁が揺れる。


『まだ残っています』

「どこだ」

『核の下です』


 セトは兵器の内部へ踏み込む。極炎で邪魔な部品を切り飛ばす。核の下へ続く細い流れを、絶光で断った。

 防御壁の光が一気に弱くなる。


「壁を切る」


 セトは絶光の刃を、球状の防御壁へ当てた。黒月の時は、刃の周囲から精霊力を吸い続けた。今度は違う。

 絶光を横へ振る。球状の壁へ、一本の切れ目が走った。壁の上下がずれる。開いた隙間は、すぐには閉じない。


『今です』


 ネアが言った。


『わたしの番だ』


 シアの声。セトは右手の極炎を引いた。



※第15話「二本目の精霊剣」は全九回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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