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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第15話 二本目の精霊剣

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(六)三度目の地鳴り

◆ 三度目の地鳴り


 採石場の方向から、これまでで最も大きな音が響いた。地面が揺れる。暗闇の向こうへ淡い光が伸びた。


「出るぞ!」


 隊長の声が飛ぶ。兵士たちが配置につく。投石機の縄が引かれる。

 術士は左右の高台から、採石場の出口へ狙いを定めた。岩の崩れる音が連続する。土煙が夜空へ上がった。

 その中から、金属の脚が現れる。一度。二度。地面を踏みしめ、岩を押しのける。

 やがて、装甲に覆われた巨体が採石場の外へ出た。傷は一つも残っていない。脚も装甲も元へ戻っている。

 核へ入れた亀裂も、外からは見えない。前の二度の戦いが、なかったかのようだった。


「ネア」


 セトが手を差し出す。ネアがその手を取った。


「今度は、最後まで離れません」

「ああ」

「ネア」


 黒に近い光が広がる。絶光がセトの左手へ生まれた。原光の流れが、暗闇の中へ浮かび上がる。

 シアが右手をつかむ。


「シア」


 赤橙色の光が集まり、極炎となる。二つの力がセトの体へ流れ込んだ。右手には極炎。左手には絶光。


『右から三本』


 ネアの声。


『上から太いものが一つ。地中から二本です』

「見えている」

『砲口が開くぞ』


 シアが言った。古代兵器の上部が開く。原光が砲口へ集まり始めた。


「まず、あれを止める」


 セトは絶光を構えた。


◆ 光を分ける


 原光の砲撃が放たれた。暗闇が白く照らされる。黒月を使った時、セトは砲撃の側面へ刃を当てた。

 吸いきれない力を刃に沿わせ、方向を変えた。今度は違う。


『中心です』


 ネアの声に合わせ、セトは絶光を振る。迫る原光の中心へ、刀身を入れた。衝撃が左腕へ伝わる。

 絶光の刃を境に、光の塊が二つへ分かれた。右と左。分かれた砲撃がセトの両側を通過し、兵士のいない地面へ突き刺さる。

 二か所で大地が砕けた。


「切れた」

『次が来る前に、供給を絶ちます』


 セトは古代兵器へ走る。ネアとシア。二人の力によって強化された体が、地面を蹴る。

 古代兵器へ向かう太い原光の流れが見える。右から来る一本へ絶光を振る。流れが途切れる。

 続けて、地面から伸びる一本。二本目。上から落ちる太い流れ。三本目。

 古代兵器の装甲の隙間で脈打っていた光が弱くなる。兵器の脚が横から振られた。


『上だ』


 シアの声。セトは体を沈める。頭上を金属の脚が通過した。

 そのまま兵器の側面へ回り込み、極炎を振る。炎の刃が脚の関節へ入った。装甲が裂ける。

 骨組みが焼き切れる。脚の先が地面へ落ちた。切断面へ原光が集まり始める。


『左下から二本来ます』


 セトは絶光を振り返す。切断面へ向かっていた二本の流れが途切れた。部品の輪郭が浮かびかけ、崩れる。


「再生しない!」


 隊長が叫ぶ。


「今だ! 撃て!」


 投石機から岩が放たれる。古代兵器の正面装甲へ直撃した。術士たちの火と風が続く。装甲がへこむ。

 継ぎ目が割れる。いつものように、すぐには元へ戻らない。


「正面を開く!」


 セトは古代兵器へ踏み込んだ。



※第15話「二本目の精霊剣」は全九回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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