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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第15話 二本目の精霊剣

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(五)二本目

◆ 二本目


 シアの体が赤橙色の光へ変わった。光がセトの右手へ集まり、炎の剣となる。極炎。

 シアの力がセトへ流れ込んだ。ネアの冷たい力は、すでに全身へ広がっている。そこへ、シアの熱が重なる。

 二つの力はぶつからなかった。互いを押し出すこともない。セトの両腕を通り、体全体へ行き渡る。

 右手には極炎。左手には絶光。


『立てるか』


 シアの声がする。


『無理なら、すぐに戻ります』


 ネアの声も聞こえる。


「ああ」


 セトは二本の剣を構えた。極炎を振る。続けて絶光を振る。

 右の炎が空気を焼き、左の刃が原光の流れを切る。二本を交差させる。触れる直前で軌道をずらした。

 絶光の近くで、極炎の炎がわずかに引かれる。


「近づけすぎない方がいいな」

『わたしの力まで切るつもりか』


 シアが言った。


『意図して切ることはありません』

「意図しなければ切らないのか」

『今のところは』

『不安になる言い方をするな』

「二人とも聞こえているのか」

『ネアの声は聞こえる』

『わたしにもシアの声が聞こえています』

「俺にも二人とも聞こえる」


 少し離れた場所では、隊長が怪訝な顔をしていた。セトが誰もいない場所へ返事をしているように見えるらしい。


「どうなった」


 隊長が尋ねる。


「二本とも使える」

「二本?」

「シアとネアだ」


 隊長には、剣の中から聞こえる二人の声は届いていない。それでも、セトの両手にある剣を見れば意味は分かった。


「月の精霊王も、剣になったのか」

「ああ」

「勝てるのか」

「今から確かめる」


 隊長は顔をしかめた。


「確かめる相手が、あれでなければよかったんだがな」


◆ 作戦


 ネアが人の姿へ戻る。絶光が黒に近い光へほどけ、セトの左手から離れた。光が人の形を作り、ネアが地面へ降り立つ。


「問題ありませんか」


 セトが尋ねる。


「少し力を使いましたが、動けます」

「もう一度なれるか」

「試します」


 ネアが手を差し出す。セトが取る。


「ネア」


 再び、黒に近い光が左手へ集まった。絶光が形を作る。


『なれました』

「なら作戦を決める」


 セトは絶光を持ったまま、兵器へ向かう原光を見る。


「絶光で太い流れを切る」

『全部を切る必要はありません』


 ネアが答える。


『再生と防御壁を弱められるだけ切ればよいでしょう』

「そのまま極炎も出す」

『わたしが装甲を開く』


 シアが言った。


「大きな一撃は最後まで残す」

『前と同じでは、核まで開くのに時間がかかる』

「絶光で再生を遅らせる」

『それでも、原光が完全に止まるわけではありません』


 ネアが言う。


『通常の斬撃と兵士たちの攻撃で装甲を開きます。大きな一撃は核へ残してください』


 前の戦いでは、黒月を一か所へ当て続けなければならなかった。今度は違う。絶光で切った原光の流れは、少しの間、剣を離しても戻らない。

 その間に別の流れを切り、極炎で装甲を破壊できる。


「核が見えたら、絶光で防御壁を切る」

『わたしが壁を絶ちます』

「極炎で核を壊す」

『今度は届く』


 隊長が地面へ地図を広げる。


「兵士は何をすればいい」

「極炎が開いた場所へ攻撃を集中させる」


 セトが答えた。


「再生する部品を壊し続けてください」


 ネアが続ける。


「絶光で流れを切っても、兵器の中に残っている原光までは消えません」

「砲撃は?」

「絶光で切る」


 シアが言った。


「切れるのか」

「さっき流れを切った」

「流れと砲撃は同じなのか」

『試していません』


 ネアが答える。隊長には聞こえない。セトが代わりに言う。


「たぶん切れる」

「たぶんか」

「正面へ集まるな。砲口が向いたら散れ」

「それは最初から変わらんな」


 隊長は兵士たちへ命令を伝え始めた。絶光で原光を絶つ。極炎で装甲と核を破壊する。二本の精霊剣を、同時に使う。

 黒月では届かなかった場所へ進むための作戦だった。



※第15話「二本目の精霊剣」は全九回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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