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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第15話 二本目の精霊剣

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(二)剣になった時

◆ 剣になった時


 シアはすぐには答えなかった。分からないからではなく、何を聞かれているのか分からないような顔をしていた。


「剣になった時に、何をしたのですか」


 ネアが言い直す。


「セトが死にそうだった」

「その時の状況ではなく、剣になるためにしたことです」

「剣になろうと思った」

「それから?」

「セトに手を伸ばした」

「それから?」

「名を呼べと言った」

「なぜ、名前を呼ばせたのですか」

「そうすればいいと思った」

「方法を知っていたのですか」

「知らない」

「知らないのに?」

「ああ」


 シアは少し考える。


「だから、たぶんそれだけだと言った」


 ネアがシアを見る。


「確信はなかったのですね」

「ああ」

「名前を呼ばせた以外には?」

「ない」

「力の流れを変えたり、自分の形を作り直したりは?」

「していない」

「何か詠唱は?」

「していない」

「精霊剣になる方法を、どこかで知ったのでは?」

「知らない」


 ネアは息を吐いた。


「結局、感覚なのですね」

「ああ」

「参考にしにくいですね」

「だが、剣にはなった」

「結果だけは参考になります」


 セトには、シアが隠しているとは思えなかった。本当に、手順として説明できないのだろう。


「セトは何をしたのですか」


 ネアが尋ねた。


「シアの手を取った」

「それから?」

「名前を呼んだ」

「剣にしようと考えていましたか」

「いや」

「では、なぜ名前を?」

「シアが呼べと言ったからだ」


 ネアがシアを見る。


「覚えていますか」

「ああ」

「なぜ、名前を呼べばよいと思ったのです」

「分からない」

「分からないのに、呼ばせたのですか」

「剣になろうと思った時、そうすればいい気がした」

「それで、たぶんそれだけだと?」

「ああ」


 ネアは少し黙った。


「やはり、感覚なのですね」

「必要なら、やればいい」


 シアが言った。


「同じことが起きるとは限りません」

「黒月では足りないのだろ」

「ええ」

「なら、別のことをするしかない」


 その通りだった。黒刃へ重ねられる力には限界がある。黒刃が触れられる場所にも限界がある。

 黒月では、古代兵器へ流れ込む原光のすべてを止められない。


「精霊剣になれば、シアの力はセトへ流れるのですね」

「ああ」


 シアが答える。


「剣の中だけではなく、体にも?」

「ああ」

「シアが見ているものも、セトには分かるのですか」

「全部ではない」


 今度はセトが答えた。


「だが、力の向きは分かる。シアがどこを狙おうとしているかも、剣を持っていれば伝わる」

「黒月とは違いますね」


 ネアは自分の手を見る。黒月へ乗せた力は、黒刃の上に留まっていた。セトへ流れたわけではない。

 自分が見ている原光の流れも、セトには見えていなかった。


「わたしが剣になれば、黒刃を通す必要がなくなるかもしれません」

「できるのか」

「分かりません」

「やってみれば分かる」


 シアが言う。


「失敗した場合を考えてください」

「失敗したら、剣にならない」

「それだけで済む保証はありません」

「壊れるのか」

「分かりません」

「分からないことばかりだな」

「初めてなのですから当然です」

「なら、やるしかない」


 シアの言葉は、乱暴ではあるが間違ってはいなかった。採石場から、再び岩の割れる音が響く。試すなら、兵器が出てくる前しかない。



※第15話「二本目の精霊剣」は全九回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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