↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第14話 一本では届かない

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
72/219

(五)増える吸収

◆ 増える吸収


 古代兵器へ集まる原光が太くなった。

 空気中に、淡い光の筋が見える。

 採石場に残っていた草が急速に色を失った。

 地面の湿り気が抜けていく。

 遠くの森からも、原光が引かれていた。


『吸う量を増やした』

「壊された分を補おうとしているのでしょう」


 ネアが言った。

 黒月は切断面へ流れ込む原光を奪っている。

 だが、古代兵器へ集まる量そのものが増えたことで、新しい部品が少しずつ作られ始めていた。


「黒月でも追いつかないか」

「効いてはいます」


 ネアが答える。


「ですが、兵器が集めるすべてを吸えるわけではありません」


 正面の装甲は開いている。

 一方で、最初に切断した脚は、ほとんど形を取り戻していた。

 新しい関節が組み上がる。

 古代兵器の巨体が持ち上がった。


「脚が戻った!」


 隊長が叫ぶ。

 複数の脚が同時に動く。


「右です!」


 セトの右側から脚が迫る。

 極炎で受け流す。

 続けて左から別の脚が来る。

 セトは黒月を傷口から抜き、体をひねって避けた。

 黒月が離れた瞬間、正面の装甲へ原光が集まり始める。


『戻るぞ』

「分かってる」


 セトはすぐに黒月を割れ目へ戻した。

 再生が遅くなる。

 しかし、古代兵器の攻撃を防ぐたびに、黒月を傷口から離さなければならない。

 離した時間だけ、部品は作られる。


「攻撃は、わたしができるだけ曲げます」


 ネアが両手を兵器へ向けた。


「黒月は再生を止める方へ使ってください」

「全部は曲げられないだろ」

「黒月を離す回数は減らせます」


 古代兵器の砲口へ原光が集まる。

 ネアが横から流れへ干渉した。

 放たれた光が、セトの右側へずれる。

 完全には外れない。

 セトは黒月を傷口から抜き、攻撃の端へ当てた。

 残った力を外へ流す。

 光が背後の岩へ当たる。

 すぐに黒月を傷口へ戻した。


「それで十分だ」

『正面へ集中するぞ』


◆ 核までの道


 極炎が内部の骨組みを切る。黒月が原光を奪う。兵士たちが露出した部品を破壊する。

 新しい部品が作られる。黒月が再び吸う。

 破壊と再生が、同じ場所で繰り返された。

 少しずつ。わずかずつ。

 開いた傷が深くなっていく。

 やがて、兵器の内部に球状のものが見えた。

 複数の輪に囲まれ、中心で淡い光が脈打っている。


「核です!」


 ネアが言った。


「中央を狙え!」


 隊長の命令。術士たちが一斉に精霊術を放つ。

 火の矢。風の刃。石の槍。

 すべてが核へ届く直前で形を崩した。

 前の戦いと同じだった。

 核を覆う、見えない防御壁。


「黒月を当てます」


 セトが言った。


「再生は俺たちが止める!」


 隊長が叫ぶ。


「セトは核へ行け!」


 投石機と術士たちが、生成され始めた装甲へ攻撃を集中する。

 セトは黒月を傷口から抜いた。

 装甲の再生が速くなる。

 黒月の切っ先を、核へ伸ばす。

 刃が何もない場所で止まった。

 壁へぶつかった感触ではない。

 前へ進もうとする力が、横へ流される。


「刃の側面を当ててください」


 ネアが言った。

 セトは黒月を傾けた。

 刃の側面を、見えない防御壁へ沿わせる。

 銀色の線が強く光った。

 核を囲んでいた球状の輪郭が、淡く浮かび上がる。

 防御壁を作っている精霊力が、黒月へ吸い込まれていた。


「薄くなっている」

『全部消せるか』

「黒月が触れている場所なら」


 ネアの言葉どおり、刃の周囲だけ防御壁が薄くなる。

 球全体が消えるわけではない。

 黒月を当てた一点へ、小さな穴が作られていく。


「極炎が通ればいい」


 シアが言った。


「ああ」


 セトは黒月を動かさず、防御壁の一点へ当て続ける。

 右手の極炎へ、シアが力を集め始めた。



※第14話「一本では届かない」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。