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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第14話 一本では届かない

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(四)曲がる光

◆ 曲がる光


 原光の塊が採石場を横切る。

 セトは正面から受けなかった。

 迫る光の左下へ、黒月の刃を当てる。

 刀身の銀色の線が強く光った。

 原光の一部が、黒月へ吸い込まれる。

 残った力は、刃の表面に沿って流れた。


「右上へ!」


 ネアの声に合わせ、セトは黒月を振り上げる。

 原光の塊が軌道を変えた。

 兵士たちの頭上を通り、採石場の崖へ直撃する。

 岩壁が砕け、石が降り注いだ。

 原光を消したわけではない。

 それでも、攻撃の向きを変えることはできた。


「通用した」

『次が来る前に行くぞ』


 セトは地面を蹴った。

 極炎によって強化された体が、古代兵器へ迫る。

 兵器の脚が横から振られた。

 セトは極炎で受け流す。

 硬い衝撃が腕へ伝わった。

 そのまま脚の内側へ潜り込む。


『関節だ』

「ああ」


 極炎を振り下ろす。

 炎の刃が装甲を裂き、脚の関節へ入った。

 内部の骨組みが焼き切れる。

 切断された脚の先が地面へ落ちた。

 古代兵器の巨体が傾く。

 すぐに、切断面へ原光が集まり始めた。


「黒月を当ててください!」


 セトは左手を伸ばす。

 黒月の刃を、脚の切断面へ添えた。

 集まっていた原光が刃へ引かれる。

 光の中に浮かび始めていた部品の輪郭が崩れた。


『止まった』

「完全には止まっていません」


 別の方向から、さらに原光が集まってくる。

 黒月が吸い込む。

 それでも、すべては奪えない。

 新しい部品が、ゆっくりと形を作り始めた。


「今だ! 撃て!」


 隊長の命令。投石機から岩が放たれる。

 切断された脚の根元へ直撃した。

 術士たちの火と風が、生成途中の部品を壊す。

 脚の再生が再び止まった。


「前より遅い」

『その間に正面を開く』


 セトは黒月を切断面から離した。

 離れた瞬間、原光が再び脚へ集まり始める。


「脚を戻させるな!」


 セトが兵士たちへ叫ぶ。

 隊長が指示を引き継ぐ。


「攻撃を続けろ! 関節だけを狙え!」


◆ 開いたままの傷


 セトは古代兵器の正面へ回り込んだ。

 右手の極炎を横へ振る。

 分厚い装甲板の一枚が切断され、地面へ落ちた。

 その下には、二枚目の装甲がある。

 古代兵器の砲口がセトへ向く。


「下へ流してください!」


 原光が放たれる。

 セトは黒月を攻撃の側面へ当てた。

 刀身を下へ振る。

 光の軌道が曲がり、セトの足元より先へ突き刺さった。

 地面が深く削れる。

 土と小石が吹き上がった。

 セトは倒れずに踏み込む。


『今だ』


 極炎を縦へ振り下ろした。

 二枚目の装甲が切り裂かれる。

 内側の骨組みが露出した。

 セトは黒月を割れ目へ差し込む。

 装甲を作り直そうとしていた原光が、黒い刀身へ引かれた。

 再生が遅くなる。


「正面が開いた!」


 隊長の声が響く。

 投石機と術士たちの攻撃が、開いた場所へ集中する。

 脚への攻撃が止まったため、切断した関節は再び作られ始めた。

 だが、今は正面を開く方が先だった。

 大きな岩が露出した骨組みへ当たる。

 術士の炎が内部へ入り、細い管を焼く。

 風の刃が、歯車に似た部品を砕いた。

 古代兵器の動きが一瞬止まる。


「さらに奥だ」


 セトは極炎を振る。

 右で装甲と部品を壊す。左の黒月で、そこへ流れ込む原光を奪う。兵士たちが開いた場所を攻撃する。

 前の戦いとは違う。

 一度開いた傷が、すぐには閉じない。

 完全に止まってはいない。

 それでも、再生よりも破壊が少しだけ先へ進んでいた。


「核はどこだ」

「中央より少し下です」


 ネアが答える。


「そのまま奥へ進んでください」



※第14話「一本では届かない」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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