(四)二撃目
◆ 回復ではない
兵器の内部が埋まっていく。
外から見えていた空洞が、部品で満たされる。
次に骨組みが作られた。
最後に装甲板が生成される。
一撃目の極炎で切り取った範囲が、閉じ始めた。
セトは呼吸を整える。
シアも次の一撃へ力を集めている。
だが、すぐには撃てない。
最大まで重ねるには、わずかな時間が必要だった。
そのわずかな間に、兵器は戻っていく。
『もう半分戻った』
「ああ」
『二発目までに閉じる』
「分かってる」
セトは極炎を構え直した。
通常の斬撃で、生成途中の装甲を切る。
薄い板なら壊せる。
だが、セトが一枚を切る間に、別の場所で二枚が生まれる。
「治っているのではありません」
ネアが兵器の近くから言った。
黒い線を伸ばし、原光の流れを押さえている。
「人や精霊の傷なら、残った部分をつなぎ直します。あれは、失った部分をすべて別の部品で置き換えています」
「違いは?」
セトが尋ねる。
「残っている部分へ負担をかけません。何度同じ場所を壊しても、材料さえあれば同じ状態へ戻せます」
『なら、弱っていかない』
「原光がある限りは」
ネアが答える。
兵器の脚が動いた。
止まっていた二本が、新しい部品に置き換わっている。
巨体がゆっくり持ち上がった。
「二発目が来る前に、ほとんど戻ったな」
セトが言う。
『遅いと言いたいのか』
「俺たちがじゃない。あれが速すぎる」
『ならいい』
◆ 核までの道
「外側を壊すだけでは終わらない」
セトが兵器を見上げる。
『中に大事なものがある』
「ああ」
装甲。骨組み。部品。
すべてを作り直す仕組みがあるなら、その命令を出している場所がある。
「中心を探す」
セトが言った。
「一撃で、そこまで開く」
『今度は縦だ』
「分かった」
「待ってください」
ネアが言った。
黒い線の一部を兵器の内部へ入れている。
「中心へ原光が集まっています」
「核か?」
「おそらく」
「位置は?」
ネアが兵器の胸部に近い場所を指す。
「装甲の中心より少し下です」
「見えるのか」
「原光の流れだけです。何があるかまでは分かりません」
『十分だ』
兵器の砲口がネアへ向いた。
セトが走る。
「ネア、下がれ!」
ネアは原光の流れを横へ曲げる。
放たれた攻撃の軌道がずれた。
だが、先ほどより近い。
完全には避けられない。
光の端がネアの周囲をかすめた。
長衣の袖が裂ける。
ネアの体が後方へ飛んだ。
『ネア!』
シアの声が極炎から響く。
「動けるか!」
ネアは地面へ片手をついた。
「問題ありません」
「下がれ」
「もう位置は分かりました」
ネアは立ち上がる。
「次は、あなたたちが開いてください」
◆ 二撃目
セトは兵器へ向かう。
砲口が動く。
脚が振られる。
極炎で脚の先を切り落とした。
切断された場所へ、すぐに原光が集まる。
新しい脚先が生成され始める。
止める意味はない。
動きを鈍らせる数秒だけでいい。
セトは兵器の正面へ回った。
『たまった』
「俺も行ける」
『本当か』
「本当だ」
『息が乱れている』
「撃てる」
『倒れたら運べないぞ』
「その時は引きずれ」
『分かった』
兵器の前面装甲が開く。
砲口ではない。
複数の板がずれ、内部へ原光を引き込んでいる。
再生成に使うための入口なのかもしれない。
「今だ」
セトは正面から踏み込んだ。
極炎を上段へ構える。
「極炎!」
シアが刃へ力を集める。
セトは兵器の正面を、上から下へ斬り下ろした。
炎の線が装甲を割る。
一枚目。
二枚目。
三枚目。
重ねられた装甲板が左右へ崩れた。
内部の骨組みが焼き切れる。
原光を運ぶ管が破裂し、淡い光が周囲へ漏れた。
さらに奥。
兵器の中心近くに、球状の部品が見えた。
周囲を複数の輪が囲み、内部で光が脈打っている。
「見えた!」
隊長が叫ぶ。
「術士! 中央を狙え!」
※第13話「地下から来た兵器」は全六回です。
続きます。
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