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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第67話 太陽へ落とす

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(一)星華と星穿

◆ 星華


 終焉の炎。

 その向こうに、太陽。

 二つは、一本の射線上へ並んでいた。


 終焉の炎の再生は、ほとんど終わっている。

 四枚の赤い翼が広がり、胸部の砲口へ原光が集まっていく。

 先に撃たれれば、苦労して整えた射線が崩れる。

 セトは右手の極炎と左手の絶光を握り直した。


 シアが七つの赤い分霊核を広げる。

 ネアの七つの黒い分霊核も、別々の位置へ動いた。

 右手の精霊剣を含む八つの赤。

 左手の精霊剣を含む八つの黒。

 十六の射点が、終焉の炎を捉えた。


『準備できた』


 シアの声が右手から伝わる。


『こちらも問題ありません』


 左手のネアも続いた。

 終焉の炎の胸部で、赤い光がさらに強まる。

 セトは十四個の分霊核の位置を確認した。

 赤と黒を同じ力へ変えるのではない。

 二つの異なる流れを、それぞれ保ったまま、同じ瞬間へ合わせる。


 分霊核の位置。

 二本の精霊剣の向き。

 終焉の炎までの距離と、その向こうにある太陽。


 どれも、誘導を終えて射線をそろえた時からずれていない。

 精霊回路は増大する負荷に合わせて流路を変え、赤と黒を滞らせずに通していた。

 胸部に集まる赤い原光は、さらに勢いを増している。

 シアとネアが射点の向きを微修正すると、セトも最後尾から軸を合わせた。

 十六門の一つでも向きが外れれば、削るべき範囲へ力が届かなくなる。


 終焉の炎の砲口で、赤い光が弾けた。


「星華!」


 八本の赤い線と八本の黒い線が、同時に宇宙を走った。

 赤い火が肉体を貫き、黒い月が原光の流れを分断する。

 胸部の砲口は撃ち返す前に消え、四枚の翼が切り離された。

 頭部、腕、胴体も、赤と黒の光の中で失われていく。

 十六本の線が異なる位置を通り、巨体の中心までも削り取った。


 赤い巨体が消えた。

 中心へ集まっていた原光も、一度は途切れる。

 だが次の瞬間、何も残っていないはずの位置へ小さな赤い光が現れた。

 周囲から原光が届くより早く、表の核と呼んだ中心が戻っている。


「やはりほぼ一瞬で修復するのか。ただ、核の周りの質量は大幅に削れた」

『次』


 シアが短く促した。


「ああ」


 星華の目的は果たした。

 表の核を守る肉体がない今なら、次の一撃を直接通せる。

 再生が広がる前に、もう一つの大砲撃へ移る。


◆ 星穿


 セトが、表の核から太陽へ続く射線を示した。

 シアとネアが、それぞれ七つの分霊核を動かす。

 今度は終焉の炎を囲まない。

 赤と黒の核が、セトと表の核を結ぶ一本の線へ移動していく。


 最もセトに近い位置へ一つ。

 その前へ、次の一つ。

 十四個の分霊核が、互いの力を通せる間隔を保ちながら一直線に重なった。

 セト自身も最後尾へ移動し、右手の極炎と左手の絶光を同じ方向へ向ける。


 二本の精霊剣。

 十四個の分霊核。

 十六門すべてが、一本の射線に並んだ。


 星華の負荷がまだ回路に残っている。

 赤い流れが増えれば、空いた部分へ道が広がる。

 黒い流れが続けば、別の経路がそれを受け止める。


 ヴァルナに再調整された回路は、二本の精霊剣から届く力を止めなかった。

 ただし、負荷が消えるわけではない。

 セトは八翼の安定を確かめながら、最後の射点まで意識を通した。

 赤い核も黒い核も、動かしているのは二人だ。

 セトは二つの流れが同じ線から外れないよう、全体の位置と負荷に意識を向けた。


 別々の砲撃を同じ場所へ繰り返すのではない。

 一つの砲撃を十六門へ通し、それぞれの門が力を加える。

 広げず、散らさず、一本へ集める。

 双天・星穿のためにそろえた配置だった。


 表の核から赤い筋が伸びる。

 失われた肉体が作り直されようとしていた。

 セトは二本の剣へ力を流した。


「双天!」

『星穿!』


 シアとネアの声が重なった。

 二本の精霊剣から放たれた赤と黒の力が、一つの砲撃となって射線へ入る。

 最初の分霊核を通過する瞬間、その核の出力が加わった。

 続く核も同じ流れへ力を重ねる。


 次の核。

 その次の核。

 十四個を抜けるたび、光は細さを保ったまま密度と速度を増した。

 十六門分の力が一本へ集約され、双天・星穿が終焉の炎を貫いた。


 再生しかけた肉体が消し飛ぶ。

 表の核も中心を貫かれた。

 だが、核は同じ位置へ戻る。

 その瞬間、維持された射線が再び核を貫いた。


 壊れる。

 戻る。

 戻った直後に、また貫かれる。


 ほとんど一瞬のうちに破壊と修復が繰り返され、そのたびに核へ太陽方向の速度が加わった。

 赤い光が激しく明滅しながら加速する。

 そして、太陽の白い輝きへ突入した。

 赤い光は白の中へ飲み込まれ、見分けられなくなる。


 射線が途切れても、核へ与えた速度は残った。

 表の核はそのまま、太陽の内側へ落ちていった。




※第67話「太陽へ落とす」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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