(四)二つの大砲撃
◆ 二つの大砲撃
終焉の炎の再生が進んでいる。
中心から伸びた赤い筋がつながり、胸部に近い塊を作り始めた。
まだ四翼はなく、砲口も形成されていない。
今なら準備と説明を終えられる。
「作戦を話す」
セトが射線を示すと、シアとネアは分霊核の配置を変えた。
赤と黒の核が、次の攻撃を想定して動く。
「おおざっぱな流れは、星華による大幅な削りと、十六門直列砲撃だ」
『二発撃てるのですか?』
「今ならいける」
『だったら、二発目で倒せそう』
「本来だったら、二発目で核ごとの消滅は狙えるはずだ」
『本来だったら、とついている段階で、不可能な理由がありそうですね』
「ああ」
セトは終焉の炎の中心を見た。
周囲の組織が戻るより先に、赤い流れの中心が作られている。
その違いを説明する前に、右手から別の声がした。
『その前に、十六門直列砲撃の名前はどうする』
シアが突然、話を変えた。
『また名前ですか』
『撃つ瞬間に、おりゃーとだけ言うつもりか』
『機能的に影響がないのであれば、それでもよいです』
『それは気持ちよくない。だから影響は出るかもしれない』
『確かに気持ちは悪そうです。影響が出るかもしれないなら、付けて損はないでしょう。変な微小リスクを残す必要もありません』
セトは十六の射点を頭の中で一列へ並べた。
双天・星華は、赤と黒を同時に広げて巨体を削る攻撃だった。
次に使うのは、一つの射線へ力を重ね、同じ一点を穿つ攻撃だ。
十四個の分霊核は、別々の砲撃を順番に放つのではない。
二本の剣から始まる一つの流れに、それぞれの力を加える。
「双天・星穿。で行く」
『決まり』
『決まってしまいました』
◆ 表の核
「地上からの観測、移動中の観測、対峙してからの観測で、おおよそ答えが出た」
セトは話を戻した。
地上では、終焉の炎と思われる赤い光が弱まる時刻と、再び見えた時刻を記録してきた。
見えない時間に何が起きたかは分からない。
それでも、何度大きく削っても戦いが終わらなかった事実は残る。
フィオラと戦場へ向かう途中にも、遠方から三つの光を追っていた。
ここへ到着して初めて、肉体よりも先に中心へ原光が集まる様子を直接確認できた。
そこへ、シアとネアが一年間見続けた現象を重ねる。
「俺は、こいつにも核があると考えている」
『中心なら、何度も吹き飛ばした』
シアが答えた。
『貫星も絶穿も、同じ場所へ何度も通しています』
ネアも続ける。
「ああ。だから、核も何度か破壊されているはずなんだ」
終焉の炎の肉体だけではない。
二人の攻撃は、巨体の中心を何度も貫いている。
直前の即席の双天・星華でも、中心を含めてほとんどを消し飛ばした。
それなのに、最初に赤い流れが戻ったのは、やはりその中心だった。
「核が壊れていないんじゃない。壊した後、ほぼ一瞬で作り直されている」
『周りの身体より先に』
「ああ」
セトは、いま見えている小さな塊へ目を向けた。
外側の組織はまだ伸び続けているのに、中心だけは先にまとまっている。
「通常の空間にあって、俺たちの攻撃が届く方を、表の核と呼ぶ」
『表ということは、裏がある?』
「もう一つあると考えてる」
※第66話「表の核、裏の核」は全七回です。
続きます。
作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。
※ネタバレ範囲にご注意ください。
https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/




