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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第50話 七つの分霊核

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(七)最短距離

◆ 強いもの


 七個目が赤い四翼へつながった後、シアの知覚に別のものが触れた。

 五つの空白を探した時とは違う。

 分霊核のように、送った力を吸収している点ではない。

 遠くに、強い力を持った何かがいる。


 その存在はシアではない。

 ほかの精霊王と同じように、自分と異なる流れを持っている。

 だが、完全に無関係なものとして切り捨てることもできなかった。

 どこかで、その力へ触れたことがあるように感じる。


 何者なのか。

 なぜつながりを感じるのか。

 答えは出なかった。

 セトやネアの名前は記憶の中にある。

 けれど、遠くの存在とその名前を結びつける感覚が戻ってこない。


「……何だ?」


 シアは、つながりを感じる方角へ顔を向けた。

 見れば分かるかもしれない。

 確かめないまま残しておく理由はない。


 同じ頃、ネアも遠くの力へ意識を向けていた。

 黒い四翼の外側に、自分とは違う強大な流れがある。

 そこへ直接触れているわけではない。

 それでも、途切れそうで途切れない細いつながりがあると分かる。

 分霊核を探した時の空白なら、位置を確かめて取り出せば終わる。

 今感じているのは器ではない。

 向こうにも、こちらと同じように動いている何かがいる。


 今まで何度もセトを介して触れた力の痕跡。

 その意味まで思い出せるわけではなかった。

 知っているはずのものと、今感じているものが一致しない。


「確かめましょう」


 ネアは方角だけを定めた。

 相手が誰か、まだ分からない。

 それでも、見に行く理由は十分だった。


◆ 最短距離


 シアは飛び出した。

 赤い四翼が外界の原光を取り込み、身体を加速させる。

 七個の分霊核も遅れずに付いてくる。

 山も、谷も、そこを通る道も関係ない。

 感じた力へ向かい、ただ真っすぐ進む。


 ネアも黒い四翼を傾けた。

 七個の黒い玉が一つの循環に収まり、空へ上がる。

 凍った土地はすでに遠く、足元の景色は次々に入れ替わっていく。

 雲があれば抜け、山があれば越える。

 相手へ向かう線を変える理由がなかった。


 二人の間にあった距離が縮まっていく。

 シアは相手の存在を、さっきよりはっきり感じた。

 ネアも同じだった。

 強大な力。

 自分とは違うもの。

 それなのに、どこかでつながっているもの。


 シアはまだ、それをネアだとは認識していない。

 ネアも、相手をシアとして思い浮かべていない。

 二人が互いに戻ると約束したことは、記憶の中にある。

 だが、その約束が今の行動を決めているわけではなかった。


 確かめる。

 見れば、分かる。


 赤い光が高い空を横切る。

 離れた場所では、黒い光が別の方向から走っていた。

 二つの軌跡は、少しずつ同じ地点へ近づいていく。


 その先に何がいるのかを、まだ知らない。

 どんな言葉を交わすのかも、決めていない。

 もう一度名前を呼び合える相手がそこにいるとは、考えていなかった。

 四翼が知っているのは、強い存在が近づいているということだけだった。

 ただ、自分とつながる強いものを直接見るために。

 二人は最短距離を進み続けていた。


作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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