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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第8話 奪われた炎

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(四)崩された白炎

◆ 作り直す剣


 白炎が崩れる。


 シアの火が届く。


 セトが再び剣の形へ集める。


 赤黒い剣が吸う。


 黒刃が削る。


 それでも、白炎は消えなかった。


「まだだ」


 セトが踏み込む。


 シアは指示を待たず、セトの左側へ火を置く。


 セトは右へ動く。


 グラウスの黒刃を右へ誘った後、左の火を踏んで戻る。


 白炎を振り上げた。


 グラウスの黒刃へ当たる。


 白炎の一部が消える。


 セトは消えた場所だけを短く作り直した。


 刀身の長さが一瞬で変わる。


 黒刃の脇を抜け、白炎の切っ先がグラウスの頬をかすめた。


 赤い線が走る。


「今度は届いた」


 セトが言う。


 グラウスは頬の血を指で拭った。


「確かにな」


◆ 戦いながら変わる


 グラウスの視線が、セトからシアへ移る。


「会ってから、どれほどだ」


「お前には関係ない」


 シアが答える。


「長くはないはずだ」


 グラウスは血のついた指を見る。


「それでも、戦いながら互いの動きを変えている」


「何が言いたい」


「先代は、そこまで私へ力を預けなかった」


 シアの炎が強くなる。


「先代とわたしは違う」


「ああ。違うからこそ、興味がある」


 グラウスが赤黒い剣を構え直した。


「どこまで進むか、見てみたい」


「その前に、お前を倒す」


「やってみろ」


◆ 全部を預ける


 シアの周囲へ炎が集まった。


 先ほどよりも大きい。


 林の木々が熱で鳴る。


「シア、これ以上は――」


「持てないか」


 セトは白炎を握った。


 腕はすでに重い。


 指にも力が入りにくくなっている。


 それでも、白刃の形は保てる。


「持てる」


「なら、渡す」


 シアが炎を放つ。


 白炎へ流れ込む。


 セトは受け止めた。


 白い火が大きくなる。


 広がろうとする炎を、刀身へ押し込める。


 白刃の輪郭が見えなくなるほど、強い光が集まった。


 シアは加減していない。


 セトなら扱えると判断し、大きな火を預けている。


 セトも止めない。


 自分の手を焼かないと信じ、すべてを白刃へ受け入れる。


「行くぞ」


「ああ」


 どちらが先に言ったのか、分からないほど同時だった。


◆ 正面から


 セトが走る。


 シアの火が足元へ続く。


 一歩ごとに炎が弾け、速度が増す。


 グラウスが赤黒い剣と黒刃を交差させた。


 白炎が振り下ろされる。


 赤黒い剣が力を吸う。


 黒刃が形を崩す。


 それでも、白炎は止まらない。


 シアから流れ込む火。


 セトが集める光。


 二つが、壊される以上の速さで剣を作り続ける。


 グラウスの足元に亀裂が走った。


 黒刃が揺らぐ。


 赤黒い剣が押し下げられる。


「まだだ!」


 セトが白炎をさらに押し込む。


 グラウスは突然、赤黒い剣を引いた。


 支えを失ったセトの体が前へ出る。


 黒刃が白炎の根元へ触れた。


 刀身の形が大きく崩れた。


◆ 崩された白炎


 白炎が爆ぜた。


 押し込められていた火が、形を失って周囲へ広がる。


 セトの視界が白く染まった。


 グラウスの姿が消える。


「セト、後ろだ!」


 声が届いた時には遅かった。


 背後から衝撃が来る。


 赤黒い剣の柄が、セトの背中へ打ち込まれた。


 前へ倒れる。


 石へ手をつく。


 起き上がろうとしたところへ、グラウスの足が腹へ入った。


 セトの体が道を転がる。


 白刃は消えていた。


 シアが炎を放つ。


 グラウスは黒刃で崩し、赤黒い剣で残りを吸う。


「力は強い」


 グラウスが言う。


「だが、剣を壊された後まで同じ動きを続けられない」


「黙れ」


 セトは立ち上がろうとする。


 脚に力が入らない。


 グラウスがゆっくり近づいてくる。



※第8話「奪われた炎」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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