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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第42話 四枚の翼

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(四)循環

◆ 循環


 翼へ集まった原光が、身体へ流れる。

 身体から放たれた光の一部が、再び翼へ戻る。

 外から内へ。

 内から外へ。

 そして、残ったものの一部がまた内へ戻る。


「循環してる」


 シアが言った。


「そのように見えます」


 ネアは翼から身体へ入る流れを追う。


「通常の精霊王も周囲から力を取り込めます。しかし、取り込む時と放出する時が、ここまで一つの流れとしてつながってはいません」

「ずっと回してる?」

「少なくとも、今は途切れていません」


 光の精霊王が収束光を放つ。

 岩場へ深い溝が走った。

 放出と同時に、別方向から翼へ細い流れが入り続ける。


 人影の光は弱くならない。


「撃ちながら補充してる」


 セトが言った。


「それだけではありません」


 ネアが首を横へ振る。


「放った後に残ったものまで一部戻っています。消費し、補充し、回収する。それを同時に続けている」

「ずるい」


 シアが即答する。


「強いとか弱いとかの前に、減り方が違うな」


 セトは湖の中央を見る。

 光の精霊王だけでなく、その周囲まで一つの流れに巻き込まれていた。


 四枚の翼は飾りでも、単純な飛行器官でもない。

 存在を外界へつなぐ循環路に見え始めていた。

 循環がどこから始まり、どこで終わるのかも分からない。

 少なくとも、身体の中だけを見ていては全体を追えない構造だった。


◆ 戻り切らない


「でも、全部戻ってるわけじゃない」


 セトは崩れた岩場を指した。

 光線で削られた溝は残っている。

 焼けた地面も、持ち上がった水も元には戻っていない。


「使った分は使ってる?」

「はい」


 ネアが答える。


「少なくとも、作用した原光の全量を回収しているわけではありません」

「じゃあ、撃ち続ければ減るんじゃない?」


 シアが言った。


「回収だけなら、その可能性もあります」


 ネアは周囲から翼へ入る流れを見る。


「ですが、外界からの取り込みも同時に続いています」

「使った量より吸う量が多ければ、逆に増えるか」

「それも否定できません」


 今見えているだけでは、収支までは測れない。

 一度の攻撃でどれだけ消費し、そのうちどれだけが戻り、外からどれだけ新しく入るのか。

 正確な量は分からない。


 それでも、完全に力を使い捨てている相手ではない。


「永久に減らないって決めるのも早いな」

「その通りです」


 ネアが頷く。


「ただし、普通の相手と同じ速度で消耗すると考える方が危険でしょう」


 全部戻るわけではない。

 だから無限だとは言えない。

 だが、減らすだけでも簡単ではない。


 三人が得たのは、楽観できる材料ではなかった。

 セトは、減るか減らないかではなく、どの程度の速さで差が開くかの問題だと考え直した。

 その差を測れるほど、長く付き合う余裕はない。



※第42話「四枚の翼」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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