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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第41話 混沌の光

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(六)白い中心

◆ 狙っていない


 村の端では、地面が白く焼けている。

 別の場所では、光を受けた樹が急速に枝を伸ばし始めていた。


「私たちを狙った?」


 シアが尋ねる。


「最初の一撃は、この村の上を通っただけだ」


 セトは光の来た方角を見る。


「次も、俺たちだけに向けられてはいない」

「こちらの存在には気づいているかもしれません」


 ネアが言う。


「ですが、攻撃対象として選んだようには見えません」

「人がいても、いなくても撃つ」


 避難していた男の言葉どおりだった。


 敵意があるなら、敵を狙う。

 目的があるなら、目的へ必要な場所を変える。


 だが、この光は違う。


 何もない地面を焼く。

 焼いた地面へ植物を生やす。

 作った丘を次の光で崩す。

 川を移し、その先へ新しい湖を作る。


「意味がない」


 シアが言った。


「意味を見つけられない、が正確でしょう」


 ネアは訂正したが、その声にも確信はない。


「自我があるのか」


 セトが尋ねる。


「断定できません」

「でも、あるようには見えない」


 シアの言葉に、ネアは否定しなかった。


◆ 選ばない対象


 三人は、光が通った場所をもう一度見回した。


 人の住んでいた家。

 誰もいない畑。

 森。

 岩山。

 さっき自分の力で成長させた樹。


 違いはない。


「人間を狙ってない」


 シアが言う。


「人間だけを避けてもいません」


 ネアが続ける。


「生き物も同じか」


 セトが森を見る。

 枝を伸ばしている樹の隣では、別の樹が根元から焼けていた。


「植物だから残す、もない」

「はい」


 シアが村の中央を見る。


「自分が生やしたものだから残す、もない」

「今のところは」


 ネアが答えた。


 セトは崩れた岩山へ目を向ける。


「壊す場所も選んでない」

「そう見えます」


 敵か味方か。

 生きているか、いないか。

 人間か、精霊か。

 自分が作ったものか、最初から存在していたものか。


 そうした区別で作用する場所を決めているようには見えない。


「何も選んでないのか」


 セトが言う。


「それが一番近いかもしれません」


 ネアは空の白い光を見る。


「ただ、まだ本人を見ていません。今見えているのは、流れてくる力と、その結果だけです」


 結論を出すには早い。


 三人は村を離れた。


◆ 白い中心


 これ以上近づくべきではない。

 それでも、何が起きているのかを確かめなければ、止める方法も決められない。


 丘を一つ越えたところで、景色が開けた。


 かつては大きな湖だったらしい。

 半分にはまだ水が残っている。

 残り半分は隆起し、ひび割れた岩場へ変わっていた。


 湖の外側では、新しい川が何本も生まれている。


 中央から、白い光が立ち上っていた。


 その光の中に、人の形が浮かんでいる。


 顔は見えない。

 衣服も、髪も、身体の輪郭さえ、強すぎる光に溶けている。


 ただ、人型であることだけは分かった。


 人影は、水面から少し離れた空中に静止していた。

 どのように浮いているのかは、ここからでは分からない。


 周囲には大量の原光が満ちている。

 それが人影の近くで強く光っていた。


「光の精霊王」


 ネアが低く言った。


 それは確認ではなかった。

 これほど原光へ近い力を、これほど広い範囲で扱える存在はほかにいない。



※第41話「混沌の光」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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