↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第40話 限界を外す刃

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
243/417

(六)見えてしまったもの

◆ 見えてしまったもの


 閉じようとする流れを止め、外から入る原光をそのまま腕へ通す。

 手首から前腕へ。肘から肩へ。胸と背中へ分ける。


 そうすれば、黒刃だけで処理するより多くの原光を受けられる。


 セトは一瞬、それが答えだと思った。

 黒刃が先に限界へ達しない。

 一か所へ集まる負荷を、全身へ分けられる。

 二本の精霊剣の力も、同じように流せるかもしれない。


「それなら――」


 言いかけて、セトは止まった。


 流れが見えた。

 だから、その先まで見えた。


 原光が左手から入る。

 腕を通る。

 肩へ届く。

 胸と背中へ広がる。


 そこで終わらない。


 流れが大きくなれば、通った場所へ負荷がかかる。

 さらに増えれば、精霊回路が摩耗する。

 耐えられなくなった場所から裂ける。


 胸と背中へ分ければ、左腕一か所へ集まる負荷は減る。

 だが、負荷そのものが消えるわけではない。


 傷む場所を広げているだけだ。


 負荷を安全に分けているのではない。

 黒刃で処理できないものを、自分の身体へ押し込んでいるだけだった。


 セトは左手を下ろした。


「違う」

「何がですか」

「これは解決じゃない」


◆ 真逆の答え


 セトが欲しかったのは、二本の精霊剣へ耐えられる身体だった。

 シアとネアの力を受けても壊れない精霊回路。

 二人と分霊核に力が残っている間、立ち続けられる使い手。


 白刃の流れを細かく扱えるようになった。

 無駄を減らせた。

 必要な瞬間だけ刃を強化できた。

 余った力を身体へ戻すこともできた。


 そこまでは、求めていた方向だった。

 同じ量の力を、より無駄なく使う。

 身体を壊さず、少しでも長く戦えるようにする。


 見えるものが増えたことで、解決へ近づいたと思った。

 同じように精霊剣の負担を減らし、少しずつ限界を押し広げられると思っていた。


 見つかったものは、その反対だった。


「回路を強くする方法じゃない」


 セトが言った。


「では、何が見えたのですか」

「回路を守っているものを止める方法だ」


 身体は、壊れる量の力が流れないように制限している。

 黒刃を弱める。

 必要なら解除する。

 白刃へ流す量を絞る。

 腕や脚へ送る量を抑える。


 晶の精霊王との戦いで動けなくなったのも、すべての回路が壊れたからではない。

 壊れる前に、身体が止まった。


「それを外せば、今より多くの力を通せる」

「どれくらい?」


 シアが尋ねた。

 セトはすぐには答えられなかった。


「壊れるまでだ」


◆ これは壊す方法


 シアが黙る。


「今までより長く動けるのではありません」


 ネアが言った。


「動けなくなる前に、精霊回路の方が壊れます」


 セトは黙って自分の腕を見る。


「負荷へ耐えられるようになるのでもありません。今まで身体が止めていた量を、止めずに通せるようになるだけです」


 ネアはそこで一度言葉を切った。


「探していたものとは、正反対ですね」

「そうだな」


 見えるものが増えれば、どうすれば壊れないかが分かると思った。

 分かったのは、どうすれば壊れるまで止まらずにいられるかだった。


「セトが欲しかったのは、壊れない方法」


 シアが言う。


「そうだ」

「これは壊す方法」


 セトは返事をしなかった。

 否定するところがなかった。


「真逆」


 短い言葉だった。

 それ以上の説明は必要なかった。



※第40話「限界を外す刃」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。